ブログ「古代中国箚記」お薦め本リストの「漢字の字形を調べる字典」のページにも字典類を紹介してあるので、興味のある方はご覧ください。
今日はネットで漢字の字体を調べられるところをいくつかご紹介します。
・異體字字典
http://140.111.1.40/main.htm
台湾のサイトなので、文字コードをBIG5にすれば見ることができます。
「字形檢索」→「部首索引」で、部首ごとに調べるのが便利です。
これで見ると前回とりあげた「獨」の異体字も収録されていますが、出典は「字彙補」(清・呉任臣)というの明の梅膺祚が編纂した「字彙」を補ったもの。その先の使用例は分からずとも、膨大な漢字の異体字が簡単に検索できるこのサイトはすごいです。
・電子くずし字字典DB
http://r-jiten.nabunken.go.jp/kensaku.php
<2011.09.20>補記 リンク切れしていたので、改めてリンクしなおしました。現在は、「木簡画像データベース・木簡字典」と統合されています。<補記終>
異体字とは違いますが、草書などの崩し字を日本の資料をメインに扱っています。「獨」をひくと、徳川光圀が漢から明までの草書を編纂させたという『草露貫珠』の事例が出てきました。
そんなわけで、中国の崩し字をちょっと調べたい時には有用です。
・漢字字体規範データベース
http://www.joao-roiz.jp/HNG/
敦煌文書の研究者で有名な石塚晴通先生が中心となって作成されたデータベース。題名にあるように、おそらくは「規範的な」漢字の字体を肉筆・木版資料から集め、データベース化したもの。
なので、異体字はあまり載っていないかもしれないが、日本や中国で模範的な、規範的な字体と思われるものを見るにはよいだろう。敦煌文書なんかでも、長安の写経所で書かれたものは他のものと筆勢からして違うので。
前回の記事で事例に出した「裔」を、これで検索すると非常に面白い結果になる。このデータベースの優れたところは字体順に字姿を出してくれるところ。
7c末 商/衣 (上/下)
11c・1127年 裔
1286・1599・1610・1669年 商/衣
という結果。。。つまり「裔」は11・12世紀には確認できるけれど、それ以外の時期では、このデータベース上ではないということだ。
もっとも、前二者が中国のもので後は日本のものだから何とも言えないし、日本も初めは唐風の書風を重んじたけれど次第に和風になったり「規範」たる中国の誰の書体・書風を選択するかという問題もあったようなので、これまた私にはよく分からない。もとより限られたデータベース内の結果ではある。しかしこうした疑問や知的好奇心をかき立ててくれるのも、データベースあったればこそだ。
左上にある「検索対象」ボックスに、たとえば自分の名前なんか入れて検索するとなかなか面白いです。
ぜひお試しを。
テーマ:漢字 - ジャンル:学問・文化・芸術