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古代中国箚記

古代中国の文章・文物・歴史・研究について。とりあえず漢文(古典漢語)や漢字について徒然なるままに、また学会覚書、購書記録なども記していきます。

「東洋文庫所蔵」図像史料マルチメディアデータベース

東洋文庫、と言えば、一般的には平凡社の東洋文庫シリーズだと思うが、中国史や東洋史を専攻する人にとっては、駒込にある財団法人「東洋文庫」の方が先に来る場合も多いかと思う。

数年前に何度か利用したことがあるが、ここのところ行く機会がなかった。しかし、、、しかし、今日たまたま下記の東洋文庫に所蔵している本のデジタルアーカイブスにたどりついた。

・「東洋文庫所蔵」図像史料マルチメディアデータベース
http://dsr.nii.ac.jp/toyobunko/

シルクロード研究では古典的になっている、スタイン、ル・コック、ベリーマン、オルデンブルグ、へディンらの報告書をはじめ、現在70冊の書籍が、なんとカラーでしかもフリー(ただ)で見られるので驚いた。欧文書籍にはテキストになおしたものも同時に見ることができ、非常に有益だ。個人的には、スウェン・へディンの「Serindia」全5冊があったとは知らなかったなぁ。買わなくてすむ(というか、古本屋に出ても高くて買えない金額になっているのが関の山だけれど・・・)。なにより、書籍の紹介の部分を読むだけでも、どういう点でこの書籍が貴重なのかが分かるように記されているのがいい。
にわか講釈はここまでにして。。。

見ても楽しいのが、写真モノ。1900年前後に中国などで撮られた写真が見られる。

いくつか例をあげてみよう。
「Ein Tagebuch in Bildern」(写真で綴る日記)の1ページには上海の外灘と豫園の九曲橋などがはっきり見える。前回、両方に行ったのでなかなか感慨深い。豫園は基本的には変わってないように思えるが、外灘はものすごく変わった。その他に北京の写真もある。
http://dsr.nii.ac.jp/toyobunko/La-161/V-1/page/0021.html.ja

「Album of photographic views in China」(中国の写真帖)の1ページには、清末の頃だろうか、北京城の城壁が写っている。外城をとりまく水路もはっきり分かるし、「城郭都市」のひとつだったと思わせる風景である。それにしてもスケールが大きい。
http://dsr.nii.ac.jp/toyobunko/La-158/V-1/page/0027.html.ja

「Views of China」(中国の眺望)も面白い。
ここでキャプションを見ると、面白いのがのっている。上海もあり、北京もあり、実際に行ったことのある人がより親近感があってよいかな。
http://dsr.nii.ac.jp/toyobunko/La-159/V-1/caption/

その他にも、あれこれと見れば見るほど面白い。

なお、これら東洋文庫所蔵書籍のデジタル化は
「ディジタル・シルクロード」
http://dsr.nii.ac.jp/
が行っているとのこと。もちろん著作権など注意すべきことは冒頭のデータベースのページの「おことわり」に出ているので、確認されたい。

中国・台湾・韓国などと比べ、デジタルアーカイブスの整備・公開が遅れていると言われ続けている日本。当然その譏りを受けなければならない事情がある(ないし、あった)が、近年はだいぶ変わり始めているような気がする。なかなかアンテナをはっていないとひっかかってこないのだが、さまざまなデータが公開されつつある。こうしたデータベースの情報もどこかで集積されていると有り難い。

データベースはいくつかあるが、二例だけあげて終わりにしよう。
・「漢籍善本全文影像資料庫」東京大学東洋文化研究所
http://shanben.ioc.u-tokyo.ac.jp/
・「データベース」京都大学人文科学研究所附属漢字情報センター
http://kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp/db/

眼福眼福。。。
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テーマ:中国史 - ジャンル:学問・文化・芸術

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