うちの親に言わせると「そんなの1冊買えばすむでしょ。なんで何冊も必要なのか?同じこと書いてあるだろ?」
となる^^;
しかし、辞典はなんでもそうだが、辞典ごとに特色がある。書いてある内容も違うし、辞典が正しいことを書いているとは限らないどころか、どこかしら間違いを含んでいるものである(人が作ったものだからあたりまえなのだが・・・)。
日本で一番有名で権威のある漢和辞典といえば、やはり諸橋大漢和、つまり『大漢和辞典』だろう。戦前戦中に編纂したその苦労はいろいろな本や大漢和の前文で知られるが、それまで存在しなかった文字を作り出してしまったことや間違った解釈を書いてしまったこともまた事実である。
日本の中型の漢和辞典は、ほとんど大漢和を参照して作られたために、その誤りを当然のことながら引きずることとなった。それは文字の形でいえば、中国における『康煕字典』の存在に似ているところがある。
たとえば「主」という字がある。
一番はじめに点を打ち、それに「王」を書く、そういう字体だ。
ところが『大漢和辞典』では、点の部分を縦棒のようにしたものを正字ないし旧字体にしている(実は今、出先からなので、表示できないが・・・)。
実は、そうした形の字は、それまで存在していなかったのだ。大漢和が作り出したので、JISにも「主」の旧字体として採用されるに至り、多くの漢和辞典が「主の旧字体」としてその字形を掲げる。
それまで存在していなかった字形が誕生し、さらにはそれが認知されてしまう。。。
それは康煕字典しかり大漢和辞典しかり、またJISしかり当用漢字しかり石井明朝体しかり・・・。
むろん、どんなものにも欠点があるから、それをただ単にあげつらうつもりはない。ただ、漢字の「印刷体」と「筆写体」は違う、ということを世の中の人は、もう少し知ってほしいなと思う。
活字にあるとおりに書くのが、必ずしも「正しい」わけではないことを。
※出先からなので、この記事は、大漢和を実際にひいて、また書き直します。
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テーマ:漢籍翻訳 - ジャンル:学問・文化・芸術