古代中国箚記

古代中国の文章・文物・歴史・研究について。とりあえず漢文(古典漢語)や漢字について徒然なるままに、また学会覚書、購書記録なども記していきます。

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『中国考古学』第六号(林巳奈夫先生のことなど)

『中国考古学』第六号(日本中国考古学会編集・発行、2006年12月16日発行)
論説
青銅器からみた輝県琉璃閣甲乙墓の位置づけ 楊文勝 1
南響堂山石窟に関する一考察 八木春生 21
囲屏石牀の研究 山本忠尚 45
魏晋南北朝墓の分類と形式組成-南方地区を中心に- 江介也 69
環東海地域における墓室装飾の融合性 来村多加史・山本謙治 107
中国南北朝時代における南北境界の陶俑について-「漢水流域様式」試論- 小林仁
騎馬楽俑考 菅谷文則 153
春秋戦国時代華中地域における青銅器生産体制復元のための基礎的検討-青銅鼎の製作技術の分析から- 丹羽崇史 165
衛星画像等を用いた洛陽地域の墳墓分布について 茶谷満 187
中国古代の太陽紋 林巳奈夫 197
について 林巳奈夫 215
動向
日本における中国考古学関係文献目録(2005年) 今村佳子・上野祥史・川村佳男・谷豊信・田畑潤・槙林啓介 229
彙報
2005年度の活動 日本中国考古学会事務局 239

26日に届いた。
 ここ数日、新着した学術雑誌の目次をうつしてきたが、こうした情報はいずれ国会図書館の蔵書検索・申込システムNDL-OPACの「雑誌記事索引の検索/申込み」にも反映される。したがって、正直なところ、手打ちで打ち込むだけ無駄、時間の浪費とも言える。
 しかし、ただ届くだけだと題名をちらっと見て終了。。。そのうち記憶にも残らない、となってしまいがちなので、自分の勉強のためと思い、載せている(非常に忙しくなったら、しなくなると思うが諒とされたい)。

 今回の、『中国考古学』第六号は、ざっと見ただけなのだが、非常に面白い論考、新しい手法を用いたもの、さらには今年亡くなられた林巳奈夫先生の遺稿とも言うべき2作を載せていて、見逃せない。また、例年「日本における中国考古学関係文献目録」と題した文献目録が載るので、非常にありがたい。しかし、今はじっくり読んでいる時間がないのが惜しい。。。
 少し読んだ感想を言えば、近年の多くの考古学的発掘が報告されている魏晋南北朝期の墓や文物の研究が盛んになっている点に個人的に興味がそそられた。さらに、茶谷論文は衛星画像のCORONA画像を用い、洛陽付近の漢魏北朝の大型墳墓を確認している点など素人目からしても面白みがある。リモートセンシングなどを使った衛星画像の利用、フィールドワークにおける携帯GPS計測器の使用なども、地理学以外の中国古代といった分野でも始まっており、研究成果も近年目につくようになってきている。

 林巳奈夫先生についていえば、自分が中国の古代の文物に興味を持ったきっかけとなった先生だった。初めて読んだ論文は、たしか龍に関するものであっただろうか、実際の自然現象にある竜巻(の一種で地と天がちょうど連なる形態のもの)を、中国古代の人々が畏れ、神格化し「龍」となった、といったような論旨だったかと記憶しているが、実際の竜巻の画像が出ていて正直ビックリした。こんな研究が、中国古代史という分野で成立している、という驚きだった。今回の遺稿にも仰韶文化の彩陶に見える鳥紋が、ホトトギスではないかとのことで、ホトトギスの絵が載っている。とりわけ中国の神話は、儒教のバイアスがかかった「つくりもの」「人為的」なものであって、そこからギリシアや日本神話のように、人々の思想・思考・思惟をうかがうことはできない、とされてきたが、林先生は発掘・発見された文物に密着し、その紋様のモトになった現物(いまの例で言えば、自然現象の竜巻や動物のホトトギス)を類推することによって、その壁を越えようとする。すべての論文を読んでいるわけでも、深く読み込んでいるわけでもないが、その手法はそう簡単に真似ができるものではなく、独特なものだと思う。もちろん、そうした奇抜とも思える研究の他に、紋様・形態に密着した青銅器の編年の「林編年」は、学界に基本的には受け入れられていると(これまた本当の専門で言えば門外漢なのであるが)思う。退官されてから出された、一般書も、多くの研究に裏付けされているものだ。
 実物に密着する、という点では、同じく今年亡くなられた白川静先生にも共通するところがあるだろう。

P.212に載せられた、岡村秀典氏の追記を引用して、今日のブログを終えよう。林先生の論文・著作のいくつかに接し、学んだ者の一人として、学ぶ姿勢だけは見習わなければ、、、という思いを強く持った。

林巳奈夫先生は2006年1月1日永眠された.突然のことだった.机の上には書きかけの原稿があった.2002年の『中国古代の神がみ』,2004年の『神と獣の紋様学』につづいて,近年『泉屋博古館紀要』や『故宮学術季刊』などに発表された論文をもとに,吉川弘文館から出版する準備をされていたものである.
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