古代中国箚記

古代中国の文章・文物・歴史・研究について。とりあえず漢文(古典漢語)や漢字について徒然なるままに、また学会覚書、購書記録なども記していきます。

『三国志研究』第一号

『三国志研究』第一号(2006年12月15日発行)
講演
狩野直禎 私と三国志 3
論考
石井仁  呉・蜀の都督制度とその周辺 17
和田英信 建安文学をめぐって 34
竹内真彦 呂布の装束-その意味についての考察 45
渡邉義浩 九品中正制度と性三品説 61


26日の大雨の中で届く。三国志学会の創刊号で、今年2006年7月30日に行われた、第一回大会の報告などが文章となったもののようだ。
なお、三国志学会第二回大会は2007年7月29日(日)10:00~17:00、大東文化大学板橋校舎多目的ホールで開催予定であること、『三国志学会』第二号は、その大会で配布予定とのこと。
編集後記に「研究者以外の方々の原稿も広く募集しております」とあるように三国志学会は既存のいわゆる学会より、間口が広く、「三国志」をキーワードにして文・史・哲の分野の交流とともに研究者と一般の人の交流もはかろうという思いが伝わる。年会費は2000円(通常会員)である。入会の詳細については上記リンク先を参照していただきたい。
 なおその三国志学会第一回大会の様子は、「三国志ニュース」に詳しく報告されている。興味のある方はぜひ参照されたい。2006年7月30日「三国志学会 第一回大会」ノート0 ノート6まで、さらにお昼休み・懇親会のレポートもあります。

 上記竹内論文では、歴史的な考証というより文学的表現としての冠、かぶりものに着目した面白い論となっている。歴史をやっている身としては考証部分で気になる点や、高句麗壁画や唐代壁画に類似した冠があり、それらが紹介されていないのが残念ではあるが、文学研究者の見方、着眼点の面白さを教わった。


 以下、昨日友人と会って久しぶりに楽しく話しをすることができたのだが、いろいろ啓発されるところがあって、自分で考えたことなどを少し記しておこう。
 中国古代の冠は、実のところ分からない(笑)。個人的に分からないといけないのだが、昨日、友人に質問を受けて、あらためて『漢代の文物』や各種漢~魏晋期の壁画墓、画像磚石の画像を見ているが、2時間ほどあれこれ考えながら、原典を読みながらしても、幘と冠の区別・区分すら分かったと自信を持って言えない^^;
 おそらくは、文献資料に見える記述は、非常にシステマティックに整然と書かれているが、実際は遺制の伝聞であったり理想像であったりしたはずで、現実にあったものを目の前にして書かれたものではないだろう。原文通りの現実があると考えると危ういし、とりわけ前代の制度を書いた場合、叙述されたその時の状況とは違っていたはずだ。もちろん、時代によっても変化があるのは原田淑人、林巳奈夫先生が言われている通りである。さらには、上述の考古学的画像は、最高でも地方長官が墓主の地方での様相をあらわしたものであって、中央官僚のそれではないことには注意しなければならない。後漢の画像磚石に見られる車馬行列がそのまま中央朝廷に当てはまるかどうかは、それが現実世界を写実したものであったとしても慎重に検討するに値することだろう。つまり、時代の差違、地域の差違は勿論のこと、何より、中央朝廷とは歴然とした差があったはずである。そうした前提を意識した上でなければ、古典に記された衣冠の制度をより確実に読解、把握することはできない(と不遜ながら思う)。来年早々、こうしたかぶり物系については詳しく研究していくことになるだろう。
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テーマ:中国史 - ジャンル:学問・文化・芸術

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