馬彪
『秦帝国の領土経営: 雲夢龍崗秦簡と始皇帝の禁苑』
京都大学学術出版会、2013年3月8日、6300円
![]() |
帝国統一後の生涯全てを征服地への旅にあて、自らその権威を示した始皇帝。支配の実態と、旧来祭祀の場と解釈された禁苑がその拠点になっていたことを、最新の出土竹簡研究によって明らかにする。
第1章 研究の課題と方法
第2章 研究史上における問題
第3章 龍崗秦簡が出土した楚王城
第4章 龍崗秦簡に見る禁苑の構造と皇帝の巡幸道
第5章 龍崗秦簡における「闌入」律令の考察
第6章 龍崗秦簡における入禁と通関の符伝制
第7章 龍崗秦簡の律名復元と文字の特徴
第8章 龍崗秦簡による周秦帝国原理への新思考―古代農‐牧境界文明の優位性
この本、京都大学学術出版会のHP(http://www.kyoto-up.or.jp/book.php?id=1875)で見ると「在庫なし」となっていて、刷り数が少なかったためか、すでに版元品切れの状態。amazonなど通販書店でも在庫少数となっているところが多い。
目次から判断するとほぼ、「龍崗秦簡」の分析に費やされているようだが、断簡の多い「龍崗秦簡」をどのように扱っているのか、利用しているのか、読んでみたいところだ。他の秦簡で補うとしてもそれほどピッタリ復元できる簡が少なかった記憶がある。
国家あるいは王朝が、土地あるいは領域をどのように認識・把握・支配していたのか、というのは古くからあるもののまだまだ掘り下げられる、新しい視点から見ることのできるいわば新しいテーマだ。
スポンサーサイト
テーマ:中国史 - ジャンル:学問・文化・芸術