あれこれ忙しくしていて、更新する機会・時間・余力がありませんでした。また体調を崩してしまったこともあり、少し以前と感覚が異なっています。時々、仕事でミスをおかしてしまうので、気を付けなければと思っているところです。
今年も残り2カ月となりましたね。。。
ところで、最近は、通勤途中の電車内で珍しく読書をしています。読んでいるのは、台湾の劇作家(シナリオライター)・監督(マルチな才能を発揮しているのでどう表現していいか分かりません)呉念真の『这些人,那些事』という本です。
最近の中国の本には、なんと帯もついてるんですね(って当たり前でしょうか。10年前なら考えられなかったことです)
その帯には、
「台湾でもっともエピソードを語るのがうまい人物が、あの人の話や台湾の話を綴ります」
とあり、2011年に各新聞のさまざまなランクでトップテンに入ったことを告げています。
内容はとても面白く。また、38の短編のエピソードからなっているので、一度に読む分量も1日、2日あれば読めてちょうどよく、さらにレベル的にもエピソード中に2,3不確かなところが出てくる感じで、僕にはちょうどいいです。中国語の同僚講師(中国人)に薦められ、読み始めました。分からないところもたびたび訊いています。
ところで、中国語の中級・上級のテキストはほとんどないと言っても過言ではなく、テキストに載せられた文章は、どこか行儀がよくて、文法的に難しいもの、意味がとれないものはまずないと言ってもいいでしょう。そうした意味で、中級以上の方はやはり中国の文章レベルの「よい」(つまり悪文ではない)ものを読むのがいいと思います。
と、書いているだけではなかなか伝わらないと思うので、いくつか例を挙げましょう。その同僚講師からもらった簡体字版(2011年、訳林出版社)より転載します。
自序(p.1)より
当其中某些片段开始在网路中被转寄流转,有网友留言问说,你在写这些故事的时候到底是什么样的事情时,我用少年时期读过的《麦克阿瑟回忆录》里头的一句话,回答了他们:“回忆是奇美的,因为有微笑的抚慰,也有泪水的滋润。”
けっこう一文が長いですね(笑)。一文がこれほど長いものは、中国語のテキストだとそうそうお目にかかれません。ただ、文法的には難しいところはありません。基礎文法ですべて説明できます。構造さえ把握できれば大丈夫です。こういう長文がよく出てくるので、それなりに読みごたえがあります。次の文も長いですが、よく構造をつかめば意味がとれるものです。
告別(p.77)より
那天,他和妻子一趟一趟地把为数不多的家具和杂物、细软扛到崙顶的岔路上,等着朋友的孩子开车从九份过来,帮他们把它运到瑞芳那间看不到山、也不会再有浓雾在门口萦绕的公寓里去。
ちょっと複雑に入り組んでいますが、基礎文法ですべて説明できる文です。なかなか読みごたえがあると思います。
前言(p.1)より
他会要求把全家人的出生年月日都拿去给他看,全家几口人总会有一口又冲犯到什么吧?
ここは、一度読んだときは正確には意味が把握できずに、少し考えました。それから、こう読むべきなのでは、という案を中国人の先生に訊いてみました。幸いその読みであっていたので、なるほどと合点した次第。ちょっと判断に迷った時にすぐに訊くことができるというのは、幸せな環境ですね。
語られているエピソードはとても興味深く、かつ表現も情感にあふれて、読んでいて飽きません。普通の小説だったらとっくに投げ出していたでしょう。いつまで続くか分かりませんが、しばらく読み続けてみたいと思います。
そうそう、この呉念真氏は、映画『非情城市』の脚本を書いた人の一人で、『多桑』では脚本を書き、みずから監督をしています。侯孝賢監督作品では『恋恋風塵』でも脚本を書いています。
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テーマ:中国語 - ジャンル:学問・文化・芸術