『追憶―森本淳の思い出』「追憶」刊行委員会、2010年。

森本さんは私の大好きな友人であり研究仲間であり、かけがえのない存在でした。
私も、この追悼文集に森本さんとの思い出を追悼文として載せています。75名の日本人・11名の中国人が彼のために思い出を語っています。追悼文を書いた人を見てみると、研究仲間で追悼文を寄せてみてもおかしくない人が何人かいるように思いました。でもそれはこの追悼文集の欠点というわけではなく、彼の活動・存在が幅広く印象深いものだったからです。
ある研究仲間から「森本さんが亡くなったっていうけど、実際どうしたの?なんで?」と聞かれたことがありました。その時は私も状況を知らなかったので、よくわからないんだけどと答えるしかなかったけれど、彼らもこの追悼文集を読みたいに違いありません。
もし、森本さんの知り合いで、この追悼文集を読みたい人がいましたら、私まで、メールで連絡をください。
gu3zhong1@gmail.com
正直に告白すれば、私は彼と共通点が多いです。
同じ歳であり、同じく論文を書くのに苦労し、非常勤で常勤の教員になれず、博士論文を書けず、急に太ってしまったこと、恋人のこと・・・。
それに同じ悩みを持っていたのにもかかわらず、私たちはそれについてほとんど語りませんでした。いつも楽しく飲んでバカなことを言って笑い、愉快に過ごすのでした。中国の調査旅行では同部屋になったことも何度かあります。
森本さんは友情を本当に大切にしていたのに対し、私はいつも自分のことで精一杯で、メール無精で友情をおろそかにしていると思われても仕方ない点はまったく違います。抜き刷りを中国の知人にも送っていた森本さんに対して、私は数年に1本論文を書いたとしても、ほとんど抜刷を送った試しがありません。この本を読んでみて、自分の人生はなんなんだろう。このままでいいのかな。と本当に思いました。
そして、森本さんを知っている人となぜか話がしたくなりました。
かといって、生来の性格が邪魔をしてか、私はまだ誰とも連絡をとっていません。中国の羅新先生と王素先生にだけはメールを差し上げたいのですが、彼ほどの中国語力もなく、またこれまで1通もメールを出したことがない先生方に突然連絡する理由が思いつかないのです。そんな意味では、森本さんは偉大でもあったんだなと思いました。
来年は遺稿集も出ますよ。
森本淳『曹魏軍制史の研究』(仮)
その遺稿集の手伝いもさせてもらっています。いまだに森本さんが亡くなったことが信じられないけれど、遺稿集の手伝いを通して、学問的な面での彼の性格にも触れることができて、すばらしい友人に恵まれたんだなと改めて思いました。願わくば、彼のように人に愛される人になりたいと思います。
スポンサーサイト
テーマ:中国史 - ジャンル:学問・文化・芸術