パラパラ見てみたが、なかなかいいでき。例によって数多く存在する漢文入門書と同様に、漢文法ではなく「句法」解説がメインだが、入門者、センター受験のためであればこれもありだなという感じ。
![]() | 三国志で攻略!センター漢文12 (大学JUKEN新書) 旺文社、2009年 「三国志」の名場面を取り上げて、原文で読み解きながら、漢文のさまざまな知識を身につける。書き下し文と小説風の口語訳を付記。12の読解ポイントで、センター漢文を攻略。厳選された50の句形を簡潔に解説。 |
それにしても、この帯がすごい。
「あのレッドクリフで映画化した『三国志』でセンター漢文を攻略!!」とある。
上の本は句法を中心に短文を読むためのもので、題材を『三国志』にとっている。次の本は以前紹介したこともあるが、『三国志』中の比較的長い文章を取りあげ、段階的に難易度をあげていく(最初は訓点をつけているが、後のほうでは句読点のみ)という参考書。
![]() | 三国志学会 三国志―漢文講読テキスト 白帝社、2008年 『三国志』の「魏志」「蜀志」「呉志」から、三国時代の歴史の流れが分かるよう、古来日本でよく読まれてきた文章を中心に、陳寿の本文だけを取りあげたテキスト。各項は、段階を追って学習できるように、導入文、句点文、訓読文、書き下し文、語釈、現代日本語訳で構成されている。宋の紹興・紹煕の二種の刻本を組み合わせて影印した「百衲本」を底本とし、盧弼『三国志集解』、中華書局標点本『三国志』により校勘を行った。 |
実はこの本を使って、学生と古典漢語の自主演習をしたことがあるが、使ってみた感想は、意外とすぐに中級レベルになってしまう、ということ。まぁ、陳寿『三国志』を題材にしているから当たり前と言えば当たり前。魏晋から出てくる語法も散見するが、歴史研究者が編纂したものなので、語法面での解説にやや物足りなさを感じた。中級者のための教材といった感じだ。
個人的に漢文の勉強法でお薦めなのが、岩波文庫で出ている『孟子』とか『荘子』とか『韓非子』(いずれも説話が多いので楽しめる)とかで、まず「原文」を見て、自分で書き下して、それを「書き下し」で確認し、答え合わせし、現代語としての意味を考えて、それをまた「現代語訳」で確認するというもの。漢文を白文(句読点はついているが、レ点などはなし)で読むにはうってつけ。大学時代に通学電車内でよくやってました。演習で『韓非子』を読んだりもしたし。ちなみに『老子』や『易経』はこの方法はお薦めできない。かなり独自の用字法というか、独特な文章だから、歯が立たないのだ。
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テーマ:漢文・漢詩 - ジャンル:学問・文化・芸術