古代中国箚記

古代中国の文章・文物・歴史・研究について。とりあえず漢文(古典漢語)や漢字について徒然なるままに、また学会覚書、購書記録なども記していきます。

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金文を読む

青銅器に鋳込まれた文章・文字のことを「金文」という。

金文を読むよい参考書は、実は日本にはほとんどない。僅かに挙げれば、

金文の世界―殷周社会史 (東洋文庫 (184))白川 静
『金文の世界―殷周社会史』
平凡社 (東洋文庫)、1971年。




がもっとも総合的に文字通り「金文の世界」を再現、復元している。氏の労作が出てから、総合的な金文の解説書がでないのは、研究が進んでいないからか、あるいは一般的に需要がないからなのか、専攻の時代を異にするので、中国史を勉強する者としてもよくは分からない。

あとは、書道関係から、以下の書が非常に参考になる。

甲骨文・金文 (中国法書選)甲骨文・金文 (中国法書選)
(1990/11)
不明

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上記の本は、拓本と釈文・書き下しと訳を掲載している。
周辺の理解すべき事柄は、中国法書選と対応している、中国法書ガイドが参考になる。

甲骨文・金文 (中国法書ガイド)甲骨文・金文 (中国法書ガイド)
(1990/11)
石田 千秋

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非常にコンパクトにまとまっており、金文を知るには絶好の参考書だ。

さらに、近年は、青銅器の銘文の検討を通じて見える社会を検討した、

古代中国 天命と青銅器―諸文明の起源〈5〉 (学術選書)小南 一郎
『古代中国 天命と青銅器』
京都大学学術出版会(学術選書・諸文明の起源)、2006年。

序章 青銅器を通して見えるもの
第1章 禹の九鼎
第2章 大地の精霊
第3章 祖霊と青銅器
第4章 冊命儀礼
第5章 天命の実態と機能
第6章 徳の継承
第7章 天命のゆくえ




も見逃せない一般向けの概説書となっている。巻末には「中国古代の青銅器と金文資料への理解を深めるための文献案内」と題した項目があり、以下の15の書籍を挙げる。

 これまでに発見された青銅器の銘文を集大成したものとして、
1.『殷周金文集成』中華書局、1984~1994年。
が出版されており、編集時点で存在の知られていた全ての金文資料が、番号を付して、そこに収められている。この『集成』には索引などが附録されていて、金文研究のもっとも基礎となる資料集となっている。(中略)
金文資料を体系化し、歴史の中に位置づけようとした試みは、
2.郭沫若『両周金文辞大系』文求道、1932年、増訂版、1957年
に始まると言ってよいであろう。(中略)
 同様に、金文資料を用いて、周代の社会と歴史とを復元することを、より厳密に行おうとしたものとして、
3.陳夢家「西周銅器断代」『考古学報』1954~1956年(『陳夢家著作集』2004年)
がある。(中略)
わが国での成果としては、
4.白川静「金文通釈」白鶴美術館誌一輯~五六輯、1964~1984年
 (『白川静著作集〈別巻〉金文通釈1(上)』、平凡社、2004年~『白川静著作集〈別巻〉金文通釈(7)』、平凡社、2005年)
の労作がある。主要な金文すべてに対し、これだけの密度で注釈を加えた仕事は、中国でもまだ見られず、巻末には金文学史や索引を附録するなど、周到な内容である。なお、白川教授には、別に
5.白川静『金文集』1~4、二玄社、1966年。
があって、著名な金文の拓本を原寸大で収めており、「金文通釈」所載の図版が小さいという憾みを解くことができる。
6.馬承源『商周青銅器銘文選』一~四、文物出版社、1987年
は、最近の出土遺物をも含めて、主要な金文の拓本を原寸で収め、釈文を付している。わたしは、青銅器の銘文を扱うに際して、『殷周金文集成』をひろげるまでもない時には、まず、この『銘文選』で資料にあたっている。
 青銅器の銘文を読むための字書としては、
7.容庚『金文編』中華書局、1985年、改訂版
がある。(中略)
 金文資料の中に使われている個々の文字の解釈について、これまで提出されたさまざまな説をまとめたのが
8.周法高『金文詁林』香港中文大学、1975年
である。(中略)
9.中国社会科学院考古研究所『中国考古学 両周巻』中国社会科学出版社、2004年
がある。最近の重要な考古発見について、要を得た紹介をしており、有用である。
 また、考古学的な視点からする、青銅器の年代決定については、
10.林巳奈夫『殷周青銅器綜覧』吉川弘文館、1984~1989年
の大著がある。(中略)現在のところ、青銅器のもっとも確実な年代づけは、林氏の編年だと言えるだろう。(中略)
 金文資料を用いて、周代の政治・文化を論じた論集も数多い。ここで、日本で出版された主要な著作を紹介すれば、まず最初に挙げるべきは、
11.貝塚茂樹『中国古代史学の発展』弘文堂書房、1946年
であろう。
12.松丸道雄『西周青銅器とその国家』東京大学出版会、1980年
は松丸道雄氏を中心にした東京周辺の青銅器研究者たちの研究成果を集めた論文集で、新しい視点と方法で積極的な問題提起を行っている。また、
13.伊藤道治『中国古代国家の支配構造―西周封建制度と金文』中央公論社、1987年
は、着実な議論によって、金文に見える、周代の政治・社会体制の主要な問題点に分析を加えている。
 最近の論集としては、
14.松井嘉徳『周代国制の研究』汲古書院、2002年
があり、金文資料の分析を通して、西周政権の特徴ある支配構造への意欲的な探求が試みられている。
(中略)
中国における主要な研究成果については、
15.趙誠『二十世紀金文研究述要』書海出版社、2003年
がまとめて紹介しているのが参考になるだろう。



結局のところ、金文を読む一般向けの本としては、小南氏のものか、やはり白川氏のものかによらざるを得ないのが実状で、甲骨文字の一般向けの本を書いている落合淳思氏のような存在は、金文研究ではまだ出てきていないようだ。
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