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古代中国箚記

古代中国の文章・文物・歴史・研究について。とりあえず漢文(古典漢語)や漢字について徒然なるままに、また学会覚書、購書記録なども記していきます。

甲骨文字を入力する方法

甲骨文字の入力は非常に不便である。もっとも、甲骨文字をして仕事をしている人が少ないことを考えれば、当然と言えば当然。

それを考えれば、
・今昔文字鏡
http://www.mojikyo.com/
インデックスフォント 今昔文字鏡プロフェッショナル版インデックスフォント 今昔文字鏡プロフェッショナル版

Array


で甲骨文字フォントが収録されているのが奇跡的くらいな話なのかもしれない。

しかしながら、この今昔文字鏡の甲骨文字フォントはおよそ入力することを前提にされていないような気がする。

私は今昔文字鏡はVersion2.0とVersion4.0の両方を使っているが、甲骨文字の入力に関してはversion2.0の方が優れている。たとえば、「卜」の甲骨文字を入力しようと思ったら、Version2.0は「卜」の字を出して「情報」を押すと、「関連字」のところに様々な字姿の「卜」が映し出され、そこから甲骨文字を選べばよい。しかし、Version4.0は「文字の情報を見る」を表示させても、「関連字を参照する」を表示させても、いずれにもそのような字姿の選択場面がなく、「卜」という漢字から甲骨文字の「卜」へ辿ることができないのだ。

更に言えば、version2.0(単漢字8万字TTF)からversion4.0(単漢字15万字版)へ、フォントは7万字も増加したようだが、甲骨文字について言えば、およそ増えているように見えない。甲骨文に重要な単語である「貞」という語の甲骨文字すらフォントにないのである(少なくとも漢字の「貞」からは辿れない)。

もっとも今昔文字鏡で従来表示できなかった漢字の多くが表示できるようになったので、その功績は多としなければならない(一方で、出土文物や古典籍を読んでいると『今昔文字鏡』で表示できない漢字に遭遇するので、漢字の世界は奥が深い)。

そこで登場するのが、
CD-ROM版 字通白川静
CD-ROM版『字通』
平凡社、2003年。
Windows版



である。
これは、紙媒体の『字通』のCD-ROM版なのだが、うれしいことに甲骨文字と金文がそのまま収録されている。そしてそれをフォントととして使うことができるのである。甲骨文も数種類のバージョンがあれば、それを収録しており、さらに金文、『説文解字』所収の篆文までフォントとして利用することができる。「貞」も当然のことながら収録されている。漢字を検索してそれを表示させれば、甲骨文・金文・篆文すべてを見ることができる(そういう点では『字統』のような感じだ)。

もっとも、本家の中国ではピンインから入力できる甲骨文フォントと小篆フォントがある。
北京師範大学漢学研究所が作った「甲骨文拼音輸入法」ver2.1と「小篆拼音輸入法」ver2.1だ。

「地域と言語のオプション」を中国に設定して起動するとうまく動く。日本語環境下だとうまく作動しないのが難点だ。私はこのIMEとフォントをある中国のサイトからダウンロードしたが、候補が10個しかでなくて、11個以上ある場合、候補の11や12を入力する方法が分からない(笑)。もっともこのフォントも文字鏡と同じく、現行のフォントにあてはめているので、違う環境下だと全く違う漢字が表示される。PDFで保存しないといけない(これはどのフォントを使おうが共通)。

というわけで、現状では『字通』のフォントを使うか、今昔文字鏡のフォントを使うか(不十分なので『字通』で補わなければいけない)、北京師範大学漢学研究所のIMEを使うか、が甲骨文字フォントの入力方法の数少ない方法のようだ。
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テーマ:漢字 - ジャンル:学問・文化・芸術

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