古代中国箚記

古代中国の文章・文物・歴史・研究について。とりあえず漢文(古典漢語)や漢字について徒然なるままに、また学会覚書、購書記録なども記していきます。

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甲骨文字を読む

去年もやったのだが、講義1コマを使って甲骨文字を読むという講義をやっている。去年、書いたブログはこちら。
・甲骨文を読む
http://ancientchina.blog74.fc2.com/blog-entry-198.html

読む、といっても、甲骨文字を今昔文字鏡から借りてきて、それを通行漢字に変えて、さらに書き下したものを講義では使い、殷人が何を甲骨に文字を刻んだのか、その内容を殷代社会と関連させながら説明する、という感じである。

去年の学生たちの反応は、「占いがはずれた場合はどうなるんですか?」(甲骨文字時代の占いは必ず当たるようにできている)とか、「王の健康ばかり占って、よっぽど病気が怖いんですね」といった感じだった。今ひとつ、講義の内容と狙いがはっきり出せなかった。

まぁ、いきなり「3000年前の古代中国社会を想像せよ」という方が無理な相談なのだろう。雰囲気だけでも「ふ~ん」とか「へぇ~」とか思ってくれればいいと思っている。そうした、一種の共感・同感が異文化理解の一歩になると思うからである。

甲骨文字や殷代社会研究を専門にしているわけではないので、当然タネ本があります。
前回も紹介しましたが、再掲します。

甲骨文の世界―古代殷王朝の構造 (東洋文庫 204)白川 静
『甲骨文の世界―古代殷王朝の構造』
平凡社 (東洋文庫 204)、1972年。


商品詳細を見る


amazonの中古では800円! これは安いです。
東洋文庫はだいたい1500円前後で古本屋で見ることが多いので。

最近まで知らなかったけれど、以下の書がかなり参考になりそうです。早速購入して読んでみたいと思います。

甲骨文字の読み方 (講談社現代新書)落合淳思
『甲骨文字の読み方』
講談社 (講談社現代新書)、2007年。

第1章 甲骨文字とはなにか
第2章 入門編 文字を読む
第3章 中級編 難しい文字を読む
第4章 文法編 甲骨文字の文章のしくみ
第5章 応用編 文章の解読
解読のための甲骨文字辞典


内容紹介には以下の通り。

甲骨文字を読める人が少ないのは、甲骨文字に対する印象以外にも原因がある。それは、日本語で書かれた入門書が存在しないことである。甲骨文字を文字の単位で解説した書籍はそれなりにあるものの、文法にまで筆をのばして実際に文章を読めるように解説したものは見当たらない。そのためだろうか、中国史や中国文学を専攻する大学生が甲骨文字の研究を始めても、早々に挫折するケースが目立つ。著者は甲骨文字の研究に携わる者として、こうした現状を前々から不満に思っていた。それが動機となって執筆したのが本書である。そういうわけで、本書は、一般読者にむけた甲骨文字の解説書であると同時に、本邦初の甲骨文字研究の入門書としても機能するような構成になっている。

たしかに、「ブログ 金烏工房@長春」で、
http://blog.goo.ne.jp/xizhou257/e/3d635e791b38d5e7d3dcc33cbe1023c9
「殷代甲骨文字の解読の仕方や文章の読み方を初歩の初歩から解説した入門書です。
甲骨文の入門書としてはよく白川静の『甲骨文の世界』が取り上げられますが、あれはこの本に書いてあるようなことを一通り飲み込んでいる人が読む本で、入門書だと言われると少々違和感があるのも事実。
とあるのはその通りだと思う。ブログ主は古文字研究で有名な吉林大学に留学中だそうです。吉林大学には一人知り合いがいるのだが^^;

去年の講義で今ひとつ学生の反応がよくなかったのも、今から30年以上も前に白川先生が書かれた(当時の)一般書だったから、入門書としてはいささか難しかったに違いない。

今年の甲骨文字を読む講義は、上記の本と以下の本を読んで、レジュメを作り直そう。

甲骨文字に歴史をよむ (ちくま新書)落合淳思
『甲骨文字に歴史をよむ』
筑摩書房(ちくま新書)、2008年。

第1部 甲骨文字とはなにか
     (甲骨文字が語るもの;甲骨文字を読む)
第2部 文明と社会(自然と文明;神と祭祀;王と権力)
第3部 殷王朝の歴史(王の系譜;殷から周へ)


甲骨文字の次は金文を読む講義をしているんですが、、、金文・西周期の入門書は、白川先生のものしかなさそうですね・・・。何かお薦めがあったらぜひご教示ください。
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テーマ:漢文・漢詩 - ジャンル:学問・文化・芸術

コメント

はじめまして

はじめまして。この度は私のブログを取り上げて下さってありがとうございます。

吉林大学のお知り合いというのはひょっとしてS川さんのことでしょうか?S川さんには留学先で色々とお世話になっています。

金文の入門書としては中文書になりますが、 趙誠の『二十世紀金文研究述要』(書海出版社、2003年)が工具書の特徴やこれまでの研究史などを的確にまとめています。ご参考までに。

それでは。

  • 2009/11/26(木) 19:34:44 |
  • URL |
  • さとうしん #-
  • [ 編集]

その通りです

さとうしんさま

早々のコメントありがとうございました。
さとうしんさまのブログは、HP時代から見ていました。はじめましてな気がしてない古中です^^;
金文の入門書のご紹介ありがとうございます。さすがに金文には手を出していないので、持っていませんでした。取り寄せてみてみたいと思います。
吉林大学の知り合いは、仰るとおり、S川さんです。日本にいる頃時々話をする機会があり、専門や大学が違うので年に1、2回会うか会わないかだったのですが、不思議と気が合いました。かの地で職を得られたとか。よきことです。
もっともこのブログを書いている古中は匿名ですので、S川さんは知らないと思います^^;

古代漢字の普及を目指しています。

世田谷で、古代漢字だけを取り扱う、とっても珍しい書道教室を開いております、安東麟と申します。甲骨文から西周金文、その後の古文、小篆、隷書体までの、3書体を抜かした書道教室なので、文字を上手にと思っている方が多い中、全く生徒さんは集まりませんが・・。
レジュメは拓本をトレースして、内容を考察し、書き順を文字変遷から考察しています。字源解釈は白川先生の辞典を咀嚼して、手作りしています。古代漢字の世界に浸っておりますので、勉強会などが開かれるのであれば、絶対行かせていただきたいのです。御教授をお願いしたいと強く思っております。資料を、見ていただきたいです!安東でした。
この間、白川静大好きという方が集まる勉強会で、足からできた繋がり合う漢字たちという題で、5分で怒涛の如く、字源説明を磁石を使って説明いたしました。
書家としても、元の形に表現を加えて変化させるのではなく、元の形をそのまま記す臨書を信条としています。そのままの形で味わってほしいと思っているからです。以前、白川先生にお会いできた時に、書き順の考察をしていますと申し上げると、無理だね!と強く言われたので、私も強く「でも、右や左の文字にはちゃんと昔の書き順が残っているではないですか。考察できるものもあります!」と言いました。先生は、「一生かかっても答えは出ないけれど、やり続ければいいね」と優しく言ってくれました。ぜひ、ご連絡を。

安東麟さま

まずは拙ブログへのご訪問とコメント、ありがとうございます。甲骨文字・西周金文・その後の隸書までを取り扱っている書道教室を経営なさっているとのこと。すばらしいです。近くだったら、ぜひ通いたい!と思いました(が、若干通うには自宅から遠すぎました。すいません)。
勉強会などは東京方面では全く聞きませんね。以前は松丸道雄先生を中心とした読書会があったと聞いたことがありますが、最近はそれがどうなったかもよく分かりません(私の専攻が時代が違うから知らないだけかもしれません)。
書き順は、実は私も雲夢睡虎地秦簡を臨書(というか資料としてトレース)した時に、一体どういう書き順なんだ?!と不思議に思い、あれこれ思案したことがありました。白川先生も言われていますが、真実の解明はかなり「無理」に近いと私も思います。
「右や左の文字にはちゃんと昔の書き順が残っているではないですか。」とのことですが、その書き順の書き分けが明清でもあったのか、隋唐ではどうだったのか、秦漢ではどうだったのか、疑ってみなければなりません。近現代の国語教育の場で、語源からして書き順はこうだ!と決められた可能性すらあると思います。また甲骨文字で書き順を云々するには、拓本を見ているだけではだめで、やはり実物を見てみないと確実なことは言えないと思います。以上、私見を述べました。勉強会などあれば私も参加したいと思っていますし、安東さんがお持ちの資料も見てみたいと思っています。下記までメールをいただければ幸いです。
gu3zhong1@gmail.com

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