・甲骨文を読む
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読む、といっても、甲骨文字を今昔文字鏡から借りてきて、それを通行漢字に変えて、さらに書き下したものを講義では使い、殷人が何を甲骨に文字を刻んだのか、その内容を殷代社会と関連させながら説明する、という感じである。
去年の学生たちの反応は、「占いがはずれた場合はどうなるんですか?」(甲骨文字時代の占いは必ず当たるようにできている)とか、「王の健康ばかり占って、よっぽど病気が怖いんですね」といった感じだった。今ひとつ、講義の内容と狙いがはっきり出せなかった。
まぁ、いきなり「3000年前の古代中国社会を想像せよ」という方が無理な相談なのだろう。雰囲気だけでも「ふ~ん」とか「へぇ~」とか思ってくれればいいと思っている。そうした、一種の共感・同感が異文化理解の一歩になると思うからである。
甲骨文字や殷代社会研究を専門にしているわけではないので、当然タネ本があります。
前回も紹介しましたが、再掲します。
![]() | 白川 静 『甲骨文の世界―古代殷王朝の構造』 平凡社 (東洋文庫 204)、1972年。 商品詳細を見る |
amazonの中古では800円! これは安いです。
東洋文庫はだいたい1500円前後で古本屋で見ることが多いので。
最近まで知らなかったけれど、以下の書がかなり参考になりそうです。早速購入して読んでみたいと思います。
![]() | 落合淳思 『甲骨文字の読み方』 講談社 (講談社現代新書)、2007年。 第1章 甲骨文字とはなにか 第2章 入門編 文字を読む 第3章 中級編 難しい文字を読む 第4章 文法編 甲骨文字の文章のしくみ 第5章 応用編 文章の解読 解読のための甲骨文字辞典 |
内容紹介には以下の通り。
甲骨文字を読める人が少ないのは、甲骨文字に対する印象以外にも原因がある。それは、日本語で書かれた入門書が存在しないことである。甲骨文字を文字の単位で解説した書籍はそれなりにあるものの、文法にまで筆をのばして実際に文章を読めるように解説したものは見当たらない。そのためだろうか、中国史や中国文学を専攻する大学生が甲骨文字の研究を始めても、早々に挫折するケースが目立つ。著者は甲骨文字の研究に携わる者として、こうした現状を前々から不満に思っていた。それが動機となって執筆したのが本書である。そういうわけで、本書は、一般読者にむけた甲骨文字の解説書であると同時に、本邦初の甲骨文字研究の入門書としても機能するような構成になっている。
たしかに、「ブログ 金烏工房@長春」で、
http://blog.goo.ne.jp/xizhou257/e/3d635e791b38d5e7d3dcc33cbe1023c9
「殷代甲骨文字の解読の仕方や文章の読み方を初歩の初歩から解説した入門書です。
甲骨文の入門書としてはよく白川静の『甲骨文の世界』が取り上げられますが、あれはこの本に書いてあるようなことを一通り飲み込んでいる人が読む本で、入門書だと言われると少々違和感があるのも事実。」
とあるのはその通りだと思う。ブログ主は古文字研究で有名な吉林大学に留学中だそうです。吉林大学には一人知り合いがいるのだが^^;
去年の講義で今ひとつ学生の反応がよくなかったのも、今から30年以上も前に白川先生が書かれた(当時の)一般書だったから、入門書としてはいささか難しかったに違いない。
今年の甲骨文字を読む講義は、上記の本と以下の本を読んで、レジュメを作り直そう。
![]() | 落合淳思 『甲骨文字に歴史をよむ』 筑摩書房(ちくま新書)、2008年。 第1部 甲骨文字とはなにか (甲骨文字が語るもの;甲骨文字を読む) 第2部 文明と社会(自然と文明;神と祭祀;王と権力) 第3部 殷王朝の歴史(王の系譜;殷から周へ) |
甲骨文字の次は金文を読む講義をしているんですが、、、金文・西周期の入門書は、白川先生のものしかなさそうですね・・・。何かお薦めがあったらぜひご教示ください。
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