今回われわれ研究班一行は、地元旅行社のアンパイもあって、ありきたりなホテル中華料理ないしちょっといいレストラン風中華料理しか食べられなかった。日本でも食べられるようなメニューばかり。
蘭州に来たというのに、蘭州牛肉麺もさんざんおいしいとガイドが言うにもかかわらず、食べられないところだった。それがたまたま蘭州で国内便を乗り過ごすというアクシデントがあり(そのほとんどは私の責任だったのだが//汗)、蘭州での滞在時間が延びた。
現地ガイドが昼食には何を食べたいですかという問いに、団長は即座に「我々は蘭州牛肉麺を食べたい」と返答し、現地ガイドがホテルのフロントにいい店を紹介してもらったのが、「蘭州第一麺」という店だった。
この店は地元中国人にも大人気で、予約をとっていたにもかかわらず、5,6分待たされた。
席に座ってもなかなか麺が出てこない。聞くとパフォーマンスをしてくれるという。
麺打ち(というか、例のラーメンの「拉」が見られる)職人のパフォーマンスと制服姿の給仕の口上が見事だった。

小麦粉を「拉」(ラー・引っ張る・引き延ばす)する職人と口上を述べる服務員

小麦粉1本を「拉」し、次は指をかけて2本、次は4本。次は8本。。。
と次々に台に打ち付けては「拉」を繰り返し、麺が細くなっていく。

見事な細麺が誕生!服務員のお姉さんもなにげに自慢げに見える
(口上はほとんど聴き取れなかったのだが//笑)。

「二細」という細さの蘭州牛肉麺。
地元の人は「牛肉麺」といって注文したりしない。麺の細さを言って注文するのだ、とはまた別の現地ガイドの言葉。一番細いのは髪の毛の細さなので「毛細」といい「一細」「二細」「三細」・・・などがあるらしい。で、通は「二細」を食べるのだとか。
蘭州牛肉麺には「一赤ニ緑三白四黄五清」という言葉があり、赤は唐辛子・ラー油、緑は葱、白は大根、黄は麺、清はあっさりとしたスープのことを指し、これが揃っているところに特色がある、と現地ガイドさんが説明してくれた。本場の蘭州牛肉麺には「大根」が欠かせないのだ。これはまったく知らなかったし、想像もしなかった。箸の奥に白い大根が浮いているのが分かるだろうか。麺のもちもち感といい、見た目より全然あっさりしている点といい、非常に美味であった。
中国で食べた食品でいくつかうまくて感動した食べ物があるが、蘭州牛肉麺もそれに加えてもよいかもしれない、と思った。ちなみに感動した食べ物は、友人の奥さんお手製の「烏骨鶏湯」(これは言葉にできないほどのおいしさだった。10年も前だろうか、烏骨鶏も貴重・高価だったに違いない。私はこのスープよりおいしいスープをいまだかつて食したことがない)、初めて食べた旬の「上海蟹」(とろとろして凝縮された旨みは「カニ」からは想像できない。「上海蟹」でしか味わえないものだろう)、あとは初めて食べたときはこんな組み合わせでこんなうまくなるものかと感動した「西紅柿炒鶏蛋」。無論、北京ダックも普通に感動した(が、2人で1匹頼むという暴挙をしてから数年は食い飽きた状態だった//笑)。あとは台湾で食べた「東坡肉」(ふだん肉の脂身はことごとく切り取って食べている自分だが、極品軒というところで食べた東坡肉はまったく脂っこくなく、上品な味付けで自分の中の常識が崩壊した)。
さて、話を蘭州牛肉麺に戻すと、われわれは「二細」を食べて、大満足したが、ガイドが言うにはもう1碗来るという。えぇ、そんなに食べられないよ、と思って出てきたのが幅広麺。

「寛麺」(幅広麺)は初めに小麦粉(餅)を押しつぶしてから拉する。

2杯目なのだが、これまた麺がしこしこですいとん状のような感じになっていておいしくペロリといただけた。
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