古代中国箚記

古代中国の文章・文物・歴史・研究について。とりあえず漢文(古典漢語)や漢字について徒然なるままに、また学会覚書、購書記録なども記していきます。

「比」は何画で書きますか?

突然ですが、みなさんはという字を何画で書きますか?


比・明朝体

                  という字です。



恥ずかしい(?)話ですが、今日の今日まで私は「5画」で書いていて、これが正しいと信じて疑いませんでした。というか、信じることもせずに、5画、と思っていました。上の字を書こうと思ったら、5画でしか書けません(よね?)





というのも、たまたま「階」の画数の話をしていたときに、自信をもって「13でしょ!」と言ったら、間違えでした。


えぇー、と思い、その場にあった角川『新字源』で確認したら、「12」で、つまり「比」は4画だったわけです。


青天の霹靂 というのでしょうか。愕然とし驚きそしてしばらく呆然呆然としてしまいました^^;


『新字源』には、巻末に書き順を載せた付録があり、そこで確認してみると、「比」はたしかに4画で、しかも字形は、、、

比・教科書体

                  という形。


いや、これなら4画で書けますけどね。というか、4画でしか書けない。

これは字形の問題でもあり、印刷体と筆写体の問題でもあります。上にかかげたのは、印刷されたものによく見かけるもので「明朝体」です。そして下に掲げたのは「教科書体」と呼ばれ、国語の教科書に用いられるもので、筆写するための字体なので、印刷体だけれども筆写体にかなり近い。

なんだか、やられたぁ~、という気持ちです(笑)


きっと自分と同じように「5画」で書いている人もいるに違いない。。。

と、思ってさきほど知人に聞いたところ「4画で書いてます」とのお答えが。。。あれれ、「比」を「5画」で書いている人いないですかね。

少し調べて考えてみましたが、たしかに「人」はこの字形(明朝体)の通りに書かないし、「衣」もこの字形(明朝体)通りに「7画」でなんか書いてない^^;

「比」の画数のことは、検索してみたらすでにブログを書かれている人がいました。上のふたつの画像も借用させていただきました。ありがとうございます。詳しい説明なども載っているので、興味のある方はぜひ参照してください。
Ikechi's Classroom 2006/08/21

で、同じことを書いても仕方がないので、
解説 字体辞典 解説 字体辞典
江守 賢治 (1998/05)
三省堂

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のP.511から「明朝体」と筆写についての表を載せます。この辞典、印刷書体と筆写書体がいかに違うのか豊富な例をあげていて、目からうろこなことがたくさん載ってます。


『解説字体辞典』P511


この表は、1981年に出された「常用漢字表」に付された説明で、明朝体を左に、実際の筆写する場合の形を右に出しています。「去」「玄」も、たしかに上に出ている形で書きますね♪「北」もこの字形(明朝体)で書くわけじゃないし。でも少し前まで「入」(や上に出てないけれど「越」)を明朝体通りに書いていた自分。。。
それからここには出てないけれど「瓦」は5画ですねぇ。

と、このように印刷体である「明朝体」と実際に書いている字は、違うというお話しでした。

でも、三つ子の魂百までも、ではないけれど、自分の中ではまだまだ「比」は明朝体通り「上ヒ」に作って、5画なんだけどなぁ(笑)。ちなみに唐代に筆写された「比」の字形を
唐楷書字典 唐楷書字典
梅原 清山 (1994/10)
二玄社

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で確認してみたところ、「上ヒ」と「ヒヒ」の両方ありました。この字典は、唐代の楷書の字形を確認するには本当にすばらしい本です。





最後に一言。
           の画数は何画だと思いますか??18画ではありませんよ追記:2006.12.01



 の画数ですが、正解は19画でした。

えぇ~、とまたまた騙されました(w
まぁ、無知なだけです。精進せねば!

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テーマ:漢字 - ジャンル:学問・文化・芸術

コメント

はじめまして

漢字の学習をしているしのぶんと申します。
こちらの記事でなるほどと思い、記事を作成し、引用させていただきました。事後報告で申し訳ありませんが、もし何か問題等ありましたらお手数ですがお知らせくださいませ。
「比」は4画だとなんの疑問もなく思っていましたが、「離」は18画と思っていましたので、驚きました。それでは失礼いたします。

  • 2006/12/02(土) 22:44:04 |
  • URL |
  • しのぶん #VWFaYlLU
  • [ 編集]

ご訪問ありがとうございます

しのぶんさん、コメントありがとうございます♪
またブログにて引用していただいたとのこと、うれしい限りです。

こちらからはトラックバックさせていただきました。漢和辞典の執筆や古代中国史を勉強している立場からは若干漢検に苦言を呈したい気持ちがあるのですが^^;、自分も機会があったらぜひ受けたいと思ってます。これからもよろしくお願いします。

ちなみに「離」は、、、19画でしたね。自分も驚きです。詳しくは下記をご覧ください。
大修館書店「漢字Q&A」
http://www.taishukan.co.jp/kanji/qa01.html#Q0035

  • 2006/12/03(日) 00:54:39 |
  • URL |
  • 古中 #-
  • [ 編集]

漢文史料を使って研究をしてる友人に「歩」は何部の幾画かと質問したら、当然のように「止」部4画との答え。「部首はあってるけど画数まちがってるよ。4画は戦後の新字体よ」と言ったら「じゃ旧字は5画か6画?」と大いに戸惑ってました。新字体は総て旧字から省画したものと思い込んでる人が多いようです。「正解は3画」と言うと「そんなのあり!?」だって。

  • 2006/12/09(土) 15:05:20 |
  • URL |
  • あやめ #-
  • [ 編集]

あやめさん、こんにちは。
「步」と「歩」のことですね^^; 新字体と旧字体、正字と俗字はなかなか複雑で難しい問題を含んでいると思います。でも、中国出版の漢文史料を使って研究している人であれば「步」は散見する字体だと思います(w 筆写資料であれば「少」に作る字体が圧倒的に多くて1画少ない形は、たぶんいわゆる「康熙字典体」で印刷字体かと。
> 「じゃ旧字は5画か6画?」
ちょっと笑ってしまいました。たしかに旧字の方が画数多いもんだと思っちゃいがちですねー。

旧字(というより「旧」字)にまつわる笑い話もう一つ。
例の友人に「旧という字の部首は?」と質問したら、やはり当然のように「草冠」との回答。「ブッブーッ」とやったら、「じゃフルトリ?」。「ブッブーッ」「正解は何よ?」「臼だよ」と言ったら「ウソだよ」と聞こえたらしく、「まじめに答えてよ」と怒ってました。
「旧中山道」を「1日中山道」と読んだアナもいたとかww

  • 2006/12/13(水) 00:45:22 |
  • URL |
  • あやめ #-
  • [ 編集]

旧の部首

「舊」字ですが、自分もやはり草冠?と思ってしまいますね。。。「臼」を「ウソ」・・・またまた笑ってしまいました。こういう話ができる友人っていいですね^^;
>「旧中山道」を「1日中山道」と読んだアナ
え~と、元フジの・・・有賀さつきさんですね。でも、ニュースか何かの原稿って横書きなんですかね。。。縦書きでそう読んだらもう何も言えませんけど。

ちなみに私の母親は、テレビに出ていた「中山道」を「なかやまどう」と普通に読んでました。「なかせんどう、だよ」とツッコミ入れましたが、腑に落ちない様子。。。どうも「なかせんどう」自体が何かを知らなかった模様(w

  • 2006/12/17(日) 04:17:53 |
  • URL |
  • 古中 #FvLIUmYM
  • [ 編集]

漢和辞典

 書かれている漢和辞典の名前を教えていただけませんか。

 こんなすごい方が書かれている漢和辞典に茶々入れるのは、控えないといけないなと感じましたので、伺いたく存じます。

 私は、今度の『漢字源改訂第四版』に改訂意見を出したのですが、国字関係を中心に200項目以上採用され、調子にのって、先生が書かれた漢和辞典にまで失礼をしてはと思っています。

階と瓦

 中国人に同じことを聞くと、もう一画少なくなりますよね。

 『中華字海』や『漢語大字典』などを見ると、「こざとへん」は2画、「瓦」は4画ですものね。

 前回書き忘れたのですが、『漢字源改訂第四版』の前書きにある「和訓を収集・掲載して、漢和辞典の弱点であった訓読みと、訓読みからの検索を強化した」とあるのは、私が提案したものです。

 先生も何か良い案をお持ちでしたら、教えていただければ、幸いです。

漢和辞典のことなど

jitenfetiさんへ
ご訪問、ならびにコメントありがとうございます。
このブログを始める前からjitenfetiさんのブログは時折拝見していました。国字についての研究は、門外漢なのですが、すばらしいと思っています。著作が発売された折にはぜひとも購入したいと思っています。
さて、私が書いた辞典を教えてほしいとのことですが、このブログでは「古中」として書いていますので、大変申し訳ありませんが、控えさせていただきたいと思います。また、どんな辞書・辞典にも欠点はありますので、今後ともjitenfetiさんはどの辞典にもご意見を出していって欲しいです。漢和辞典への意見については、代表的な古辞書の和訓を「省略することなく」載せてある辞典が欲しい、というのは以前から思っています。角川小辞典のある辞典と『字通』は、古辞書の和訓をだいぶとっているようですが、取捨選択しているので、最後には古辞書そのものを引き直さなければなりません(新版の『日国』はどうでしょうか、確認してないです)。
またこのブログの内容についても、誤りも当然あると思いますので、なにかありましたらご指摘よろしくお願いします♪

  • 2007/01/23(火) 15:00:14 |
  • URL |
  • 古中 #FvLIUmYM
  • [ 編集]

古辞書

 私は、先生のように大学できちんと漢字をやっておらず、独学なので、私のサイト「和製漢字の辞典」を見ていただいていたというのは、誠に恐縮です。

 古辞書についても独学なので、重要なものが漏れていたり、借りたり図書館で見たものをメモったりしたものも多いので正確じゃないところも多いと思いますが、出典に基づいて、その辞書の誤りと思われるところも、そのまま載せました。

 国語辞典や漢和辞典は当たり前のことながら、古辞書の影印版の索引にも翻刻誤りがまれでないのが残念です。

 また、その翻刻を信じて、影印などを見ないで、辞書を作っている場合などもあり、信じられないレベルの誤りも見受けられます。

 これは、著名な辞書でも例外ではなく、先生の挙げられた日本国語大辞典や中型以上の漢和辞典も例外ではありません。

 ブログなどで茶化しながら時たま言うことなのですが、漢字の専門家という名の国字の素人が多いのには、困ってしまいます。

 漢字なら古い意味から字源解釈するのが当たり前であるにもかかわらず、国字の場合は、それがめちゃくちゃなのもその一つです。

 なお、URLを入れたサイトは、少し冗談を入れながら、ほとんどはマジで、和製漢字を中心とした漢字の字源解釈に挑戦したものです。

 学研の漢和辞典に採用されたものもありますので、ご照覧いただければ幸いです。

 最後に、先日、無礼な申し出をしたことをお詫びします。

学研の漢和辞典、書店で拝見しました

jitenfetiさんへ
コメントありがとうございます。こちらこそ失礼いたしています。またjitenfetiさんの「blog index
漢字・字源・漢和辞典のブログ」にリンクしていただきありがとうございました♪光栄です。
私は漢字について大学で勉強した経験がなく、中国古代史を勉強しただけですので、「先生」という呼称は本当に恐れ多くて、逆にjitenfetiさんこそ先生と呼ぶに値すると思っています。ですので今後はHNで呼んでいただけたらと幸いです。
さて、なにぶん歴史畑なので、翻刻ミスがあるのも折り込み済みです^^; 「出典に基づいて、その辞書の誤りと思われるところも、そのまま載せました。」というのはすばらしいですね。学問的にあるべき姿だと私は思いますし、多くの辞書がそうして欲しいと思います。古辞書も選んだテキスト、翻刻や表記などいろいろ問題はあるのでしょうけれど、「テキストは~本によった」とか凡例なんかに明記して古辞書の和訓を挙げてくださると(個人的に)うれしい限りです。門外漢の素人考えですけれど、古辞書の訓で、現在、難訓と言われる読みや地名・人名の特別な読みが実は以前はその漢字の訓のひとつとして知られていたのではないか、と思うので。また、子供に名前をつけるときには参考になるんじゃないかとも感じています。
「漢字の専門家という名の国字の素人が多い」というのは、中国を勉強している身からすれば、ある意味当然のことのようにも思いました。学問は一人によってなされるべきものでもなく、誤りも含まれてしまうものです。とくに辞典などの編纂モノはそうでしょう。だからこそ、jitenfetiさんのようなご意見番が必要なので、これからも大いにご活躍を期待しております!

  • 2007/01/28(日) 14:02:36 |
  • URL |
  • 古中 #FvLIUmYM
  • [ 編集]

失礼します!!

失礼します!!

偶然来ましたが、たくさんの興味のある内容で、読ませていただきました。

また、来たいと思います。

これからも、記事を楽しみにしていますので、新しい記事を宜しくです!!

応援しているので、頑張って下さい!!

  • 2007/03/16(金) 04:03:08 |
  • URL |
  • りゅうが #-
  • [ 編集]

ありがとうございます

りゅうがさん
コメントありがとうございます。最近はなかなか更新できずにいますが、よろしくお願いします♪

  • 2007/03/29(木) 18:59:50 |
  • URL |
  • 古中 #FvLIUmYM
  • [ 編集]

4画とか、当たり前しょ。普通すぎ。こんなもん記事に取り上げるまでも無い。

  • 2007/05/19(土) 17:37:19 |
  • URL |
  • nori #-
  • [ 編集]

↑他人のブログでわざわざこんなこと書くこともないでしょうに。いやらしい人も居たものですねえ。

漢字の字画は字体・デザインによって異なってくるので、画数のわかりづらいものが出て来て当然だと思います。
「離」の画数などはなんか怪しいですよね。これは「厶」の部分が何画かという問題で、「厶」単体だと 2 画なのに「冂」の中に入ると 3 画になることになっています。楷書での運筆はほぼ同じなのに。
ただまあ、康煕字典などの大きな字書でそう定めてしまったので、従わざるを得ないところです。

  • 2008/05/06(火) 15:14:34 |
  • URL |
  • 通りすがり #z.Lps.hc
  • [ 編集]

コメントありがとうございます

通りすがりさん、コメントありがとうございます。

まぁ、noriさんのご指摘はごもっともかと。当たり前の人にとっては当たり前なのですから^^;

> 厶」単体だと 2 画なのに「冂」の中に入ると 3 画になることになっています。

これは本当にいやらしいというか、意味が分からないですよね。デザイン差というのかどうか分かりませんが、歴代の「権威ある」辞典でそうなっているから、そうだ、としか言いようがないのだと思います。

でも、この日を境に、4画の「比」を書くようになって、今では慣れました(w

  • 2008/05/06(火) 19:46:52 |
  • URL |
  • 古中 #FvLIUmYM
  • [ 編集]

助かりました

はじめまして。小学校3年生の子供を持つ母親です。子供の筆順の宿題(階段の階という字です)で納得かいかず、こちらのブログにたどり着きました。
子供のころに確かに自分が習ったと思っていた漢字がいくつか一部変わっていて(南の十、曜のヨなど)、とまどっています。本当に助かりました。ありがとうございました。

  • 2009/07/24(金) 03:12:29 |
  • URL |
  • みさを #-
  • [ 編集]

うれしいです

みさをさん
コメントありがとうございます。お役に立てたとのことうれしく思いました。自分が習ったときと違うと戸惑いますよね。世界史の用語などでも発音の仕方が違って出てきたりしてきています。国語でも同じことがあるんですね。

  • 2009/07/24(金) 21:46:55 |
  • URL |
  • 古中 #-
  • [ 編集]

えーっと思った
比は五画だって☛(/:\;)☛<うぇ~ん

  • 2012/06/15(金) 19:19:19 |
  • URL |
  • #-
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承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです

  • 2012/09/20(木) 18:38:12 |
  • |
  • #
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ここさん

こんにちは。

レスが大変遅くなりました。

カタカナの「ヲ」は、よく分かりませんが、昔から3画だと思いますよ。

  • 2012/11/11(日) 10:07:53 |
  • URL |
  • 古中 #-
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本日の学習【漢検1級】

他のサイトさまで、「比」の書き方についての記事(古中さんのブログ)を読み、触発されました(でもやっぱりこれは普通に4画だと思っていました)ので、「楷行草 筆順・字体字典」で、改めて確認したことを少し。楷行

  • 2006/12/03(日) 01:24:26 |
  • ライトオタクなOL奥様の節約入門日記

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