たまたま、神保町をうろうろしたら、その現代出版社版『漢字の起源』があった。600円と安かったので、重複するかなと思いつつ、買ってみた。

この1983年の現代出版社版の『漢字の起源』のまえがきで藤堂氏は言う、、、
だがこの十余年の間に、中国での発掘がめざましく進み、思いもよらぬ文物が大地の底から姿を現した。こうなると、旧著の前半は、あちこち加筆訂正を必要とするようになった。このたび現代出版から『漢字の起源』を出版しなおしては、という申出があり、徳間書店が快くその希望を受入れてくれたので、旧著と同名ながら、内容を新たにして、ふたたび世に問うこととなった。
下線はこちらがひいた。
さて、、、読んで字の通り、特に前半部分に加筆訂正の必要があり、内容を変えた、とある。
最終頁にもきちんと
「本書は、一九六六年六月三〇日に徳間書店より刊行された同名の書を大幅に加筆したものです。」
と記してある。
なんのことはない。今回の講談社学術文庫版は、別に加筆した現代出版社版(新版と言っておこう)をさしおいて、著者自身が「前半部分には加筆訂正」の必要があると言っている、徳間書店版(旧版)を再版したにすぎないことになる。
もっとも、旧版と新版を逐一比較していないので、どれほど「加筆訂正」されているか分からない。また藤堂氏がすでに故人であること(たしか夫人はまだ存命と聞く)、どうやら「現代出版」が1992年以降に出版した書籍がないようなので、倒産または出版業務から手をひいて著作権の問題で旧版を使わざるを得ない事情があるのかもしれない。
ちなみに昨日のブログで、学者の下の名前の音読みについて触れたが、藤堂明保も、いままで私は「とうどうめいほう」としか言ったことがない(保は「ほ」だから、音読するなら「めいほ」が正しかったorz)。本当の読み方は「とうどうあきやす」である^^;
スポンサーサイト