原田淑人『漢六朝の服飾』東洋文庫、1967年
林巳奈夫『漢代の文物』朋友書店、1996年
沈従文・著、古田 真一など・訳『中国古代の服飾研究』京都書院、1995年
くらいしか単行の本としては専門書がないのが現状である。
今回いろいろと探してみると、日本史の方面でいくつかよい参考書ともいうべき服飾に関する書籍にめぐりあうことができた。
原田淑人『『古代人の化粧と装身具 』刀水書房、1987年
は、日本も含めたアジア全体に言及があり参考になる。
その他、個人的に感心したというか、知的好奇心を大いにくすぐられたのは、以下の書であった。
![]() | 第1章 装いの始まり 第2章 魂を結ぶ 第3章 血のつながりを示す 第4章 身分と地位をあらわす 第5章 農民も耳飾り 第6章 装いの過去、現在、将来 おしゃれか、お守りか、美しい装身具の世界「アクセサリー」2万年の歴史を探る!縄文のヘソ出しルックにイヤリング、ネックレス…。集団の決まりに従い、アクセサリーを身につけた人びとは、やがて歯を抜き、入れ墨も―。ファッションからの新視点で迫る、日本の原始・古代社会の特質 |
中国の服飾史に関する専門書・一般書がほとんどないなかで、上記の本は本当に刺激的であった。
たとえば、児童が描く絵と古代の絵を比較したり、唐壁画や日本の古代古墳時代の壁画で人物画が人中(鼻と唇の間の線)を描いていることや、眼で顔の輪郭を遮っていること、入れ墨の意味を近現代のいわゆる原住民と比較したりと非常に意欲的な著作となっている。
講談社の歴史発掘シリーズは佐原真・田中琢両氏が監修者となっているが、非常によいシリーズに思う。
本書の特色として、カバーに以下のように記されている。
この全集は物の歴史を発掘することを意図しました。言葉を替えていうと、物の文化史ということになります。物を通して日本文化の根元を探り、その文化がなぜ断絶したり、継続したりするのか、テーマ別に構成した考古図録です。
少なくともこの試みは、春成秀爾氏の『古代の装い』に関しては、成功しているように思えた。
同様のことを中国でもできるのではないか、と考えてしまった。考古上の発掘成果や唐代を中心とした壁画はその材料を提供してくれている。あとは文化史という視点があれば、中国でも、『古代の装い』を復元することができるだろう。
沈従文氏の研究は、非常に役に立つものではあるが、文化史という視点からすると(つまり、なぜ断絶したか、継続したかという歴史的な視点)、やや物足りなさを覚える。それを沈従文氏や原田氏・林氏の研究に求めるのは時代的な制約からして無理なことだと思う。
より重要なことは、文化史という視点から中国古代の文物をとらえなおすことではないか、と最近思うようになった。日本史の研究成果に謙虚に学びたいと思う。
「同志社女子大学 被服学研究室」の服飾史の蔵書目録も参考になるので、リンクを貼っておこう。
http://www2.dwc.doshisha.ac.jp/hifuku/libhukusousi.htm
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