古代中国箚記

古代中国の文章・文物・歴史・研究について。とりあえず漢文(古典漢語)や漢字について徒然なるままに、また学会覚書、購書記録なども記していきます。

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古代中国の服装・服飾

古代中国の人々がいったいどんな姿をしていたのか、どんなものを着て、どんな風に生活していたのかは、実はあまり研究されているわけではない。

戦前から戦後にかけての、原田淑人氏の研究が単著としては唯一くらいなもので、論文も多くない。
杉本正年『東洋服装史論攷』〈古代編・中世編〉(文化出版局、1979・1984年)
もあるのだが、この研究は評価が分かれるかもしれない。それほど体系的ではないし、消化不足のようなところもある。しかし、かなり面白い議論がなされているので、思わず見入ってしまうことが多い。

この分野の研究が多くないのは、モノとナマエを同定する名物学的な研究が近代では歴史研究の範疇の外として認識されてしまうことが多かったのではないかと思っている。歴史を物語るのに服装・服飾などは重要でないとする人もいるだろう。

その状況はどうやら中国でも同じだったようで、沈従文の大著がドーンとあるのだが、それ以外は内容・質の両方ともに物足りなさが残る。

沈従文編著、吉田真一・栗城延江訳『中国古代の服飾研究』(増補版、京都書院、1995年)

は、中国書の翻訳であるが、定価58000円と、とても手が出ない。

大学院時代に、指導教官のところに宣伝チラシが入ってきて、チラっと見たことがあるが、こんな高い本を買う人がどこにいるんだろうと思ったのを覚えている(だいたい中国系の専攻の人であれば、中国語は読めるので、原書を買った方がよいわけです)。
この本の挿図は、まずまずよくはできているが、細かいところでおやっと思うことがあるのは、原図からイラストにおこしている本にはついてまわることなので、原図・原画を確認しなければならないのは言うまでもない。それにしても、この大著は、いまだにこの服飾史の世界では古典的名著でありスタンダードであり、類書のない、よい本なのだ。

ちなみに邦訳本でも、東京23区の図書館には意外に所蔵されているし、近年は、区民でなくても誰でも利用できるところが多いので非常にありがたい。
私自身も、5つの区の図書館利用カードを持っている(w


さくっと手軽に服飾関係の歴史を知ることができるという点では、次の本が一番いいだろう。

華 梅『中国服装史―五千年の歴史を検証する』(白帝社, 2003年)
中国服装史―五千年の歴史を検証する第1章 秦の統一以前の服装
第2章 秦漢の服装
第3章 魏晋南北朝の服装
第4章 隋唐五代の服装
第5章 宋遼金元の服装
第6章 明代の服装
第7章 清代の服装
第8章 二十世紀前半の漢民族の服装
第9章 二十世紀前半の少数民族の服装
第10章 二十世紀後半の服装

8・9・10章にページがさかれている点は不必要に感じるかもしれない。やはり沈従文の研究には及ばないのは明らかだ。

とはいうものの、最近は、展覧会や壁画墓などの発掘報告でだいぶ補える点も多いし、沈氏の研究にも誤りがないわけではない。こうした地道な名物学的な研究がきちんと評価されうる土壌かどうかが、この分野の研究の進展の鍵を握っているのかもしれない。
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テーマ:中国史 - ジャンル:学問・文化・芸術

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