2006年度 唐代史研究会秋期シンポジウムに出席してきた。
非常に面白い報告が揃っており、刺激を受けた。自分の専門とかなり時代が離れるので、専門的なことや臨席されていた先生方のお名前が分からない人が多かったけれど。
石報告は、隋唐洛陽城の発掘を実際に携わっているだけあって、詳細な発掘状況・成果の紹介がされていた。画像も見せてくださり、隋唐期の洛陽城の構造が、文献資料とともに考古学的な発掘で解明されつつあることがうかがえた。
紹介された中では、花苑遺跡(木々を植えた跡)や道路の幅、側溝、門闕の基礎、坊里をくぎる墻の基礎部分が版築であったこと、轍跡、竈跡、さらに(本来禁止されていた)道端での出店を柱跡・竈跡・出土品(食器類や娯楽品)から指摘されたことなどなどなど興味深かった。
席上には妹尾先生もいらしていたので、一言聞きたかったかも。
もうひとつ、自分にとって興味深かったのは、古瀬報告にあった「天聖令」である。
『天一閣藏明鈔本天聖令校證』上(写真版)下(釈文・校證)の2冊が席上、回覧された。時代も分野もやや異なることもあり、寡聞にしてこの史料のことを知らなかったが、この新発見された「天聖令」は、唐令の復元、さらには日本の令の復元に今後大きく寄与するもので、その資料的価値は非常に高い。古瀬報告は、学会参加報告であったが、その学会での各氏の発表内容を簡潔に報告されていて、理解しやすかった。
席上からも発言があったが、明鈔本で、やや字が粗雑ではあるが、なんらかの必要性があって筆写したものと考えられる。いま多くは述べないが、さまざまな分野での利用される史料となることは疑いがない。600元と高価ではあるが、関係する人はぜひとも手元に置くべき史料であろう。

下記の東方書店のHPに簡単なレビューがあるので参照されたい。
東方書店の『天一閣藏明鈔本天聖令校證』の紹介
<補記 2006.12.26>
『天一閣蔵明鈔本天聖令校証(附唐令復原研究)』中華書局、の購入については、各書店の値段などを比較した拙ブログの記事も書いたので、興味のある方はご参照のほどを。<補記終わり>
こうした新史料の発見は中国では各時代でここ数年めざましい。唐代史研究で言えば石刻史料、明清史では徽州文書、秦漢では簡牘群などなど。。。最近も、ある有名な竹簡が出土した附近から、さらに簡牘が出たと聞く。中国の都市開発にともなって、考古学的な発見は今後もさらに続くだろう。
さて、唐代史研究会には初めての参加だったが、ものすごい久しぶりに友人に会った。1人は日本古代史を専攻していた大学時代の同級生F氏。彼とはもう10年近くぶりにはなろうか。どうも似た顔だと思っていたら彼だった。
もう1人は大学時代に知り合った唐代史研究者のN女史。彼女とは中国書を2人で読み合った仲であるが、大学院進学後は専攻する時代もやや離れていたこともあり、疎遠になってしまっていた。3年ほど前に10年ぶりくらいに会い、今回また元気な顔を見れてよかった。「就職おめでとう」と声をかけた^^; あまり話ができなかったのは残念だったが、古い友達が今でもこの業界?にいるのは心強い。
シンポ後は、ある研究会で馴染みのG氏とCA氏と飲む。いろいろな話をしたが、「論文を書いてお互い頑張りましょう」ということで締め(笑)。そしてなぜかこのブログのことがすでにばれていたことに驚くorz
この世界、苦労している人は本当に苦労している。また、それぞれの職場でも、理不尽な苦労話には事欠かないようだ。
※友人などに関しては実名を挙げてもよいのだが、やはり一応作者を秘密にしているブログ。今後、特殊な暗号名で記していく。
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テーマ:中国史 - ジャンル:学問・文化・芸術