今日、献本いただいたのが、言わずとしれた後漢魏晋史(今後は南北朝へと研究を進められるとの話ですが)の渡邉義浩先生の新しい本です。
![]() | 渡邉 義浩 『「三国志」の政治と思想 史実の英雄たち』 講談社、2012年。 |
講談社選書メチエの1冊です。
さっと目を通したが、これまで発表してきた研究論文・研究書のダイジェスト版的なもののようで、参考文献のところには渡邉氏の四冊の研究書を主に参考したとある。また「あとがき」に、
(前略)史料で証明できる範囲のことを自分の論理に従って記述するように努めた。(中略)また、巻末に一般書として異例なほど、多くの表をつけることができた(後略)
とある。
巻末の表は、三国の主要官僚ポストの在任者・在任期間の表だったり、おもな人士の「名士」的な側面の有無を記したものだったり、おそらく三国時代をちょっと詳しく知りたい人には垂涎の史料・附表だろう(特に、「枢要官」年表は、6頁しかないが、これを『三国志』の中から調べようと思ったらものすごい時間と労力がかかる。もっとも、ほぼ同様なものに洪飴孫『三国職官表』があるが、渡邉先生のはひとつひとつ史料にあたって再検討したものであろう)。
三国時代を歴史学的に見るとどうなるのか、渡邉義浩説で読み解くとどうなるのか、かなり分かりやすく書かれているので、詳しく知りたい人への入門的な本としては最適だろう。
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テーマ:三国志 - ジャンル:学問・文化・芸術