http://www.toyo-bunko.or.jp/museum/index.html
2011/10/20からオープンしたのを受けて、仕事の終わりにちょちょっと行ってみました。
たいしたことないだろう・・・と期待せずに行ったので、よけいに興奮しました。これ、本好き・オリエント好き・歴史好きにはたまらないミュージアムになりそうです。
諸事情のため、あんまり時間がなかったのですが、辛亥革命100周年記念コーナーには、なんと・・・
毛沢東
孫文
蔣介石
の直筆の書や筆談やら書類が!!!
なんだよ、東洋文庫、やるじゃんか!と思いつつ、宮崎滔天伝来のモノも含まれているようでした。でも、この3人の直筆を同時に見られるだけでも、かなりテンション上がりました


その他にも、魯迅・李士・章炳麟の書が見られます。孫文以外は1、2点だけだったりするのですが、それが逆にいいかもしれない。長沙訛りがひどくて天安門広場に向かって「中華人民共和国、成立!」と言った時、人々は何を言っているのか分からなかったという逸話があるほど田舎の出ですが、その書いた字を見ると意外としっかり書けていたので、教養人でもあったのだなぁと改めて感心。孫文と宮崎滔天の筆談(当然、直筆)が残っていて展示されているのですが、これがまた面白い。お互い対面して書いたのがハッキリ見てとれるのです(天地が逆の文章が同じ紙に残されているので)。私は以前から、三国志で時々話題になる、北方出身の劉備が荊州にいた諸葛亮とどのように「話したのか」について、「当然、筆談だった」と思ってきましたが、この展示を見ても、孫文や毛沢東たちもたぶん筆談をバリバリに使っていたに違いないと確信しました(笑)。三国志といえば、満州語版の『三国志演義』が展示されていました。初めて見たのでなかなか面白かったです。
他にも、革命の志士の名を書き連ねる寄せ書きもありましたが、よく見ると、あ、この人知ってる、という人名があったりします。そんなものを見るのもいいかもです。
まぁ、これだけでも、お腹いっぱいだったのですが、
ルター翻訳のどでかい聖書(縦1mくらいありました【2011.11.22追記:すいません。1mもありませんでした。約47cm×31cmだそうです。詳しくは一番下のURLをご覧ください】。すごい装丁で歴史を感じました)やマリーアントワネット愛蔵本とか、世界各国で翻訳出版された、マルコ・ポーロ『東方見聞録』(世界史の教科書では、今では「『東方見聞録』(世界の記述)」とかになってる場合が多いが、東洋文庫ミュージアムでは『東方見聞録』でした)。モリソンの所蔵書を再現した三面に何層にも重なる書庫は圧倒されます。
その中で、東洋文庫が持っている、さまざまな貴著書が見られるのです。古代中国ものや漢籍ばかり見てきた私にとっては、ものすごく知的好奇心をくすぐられました。南京条約の締結シーンとか、世界史の教科書に必ず載ってる「アヘン戦争」の絵とか、サクラメンタ提要(古い五線譜)、今は亡き円明園の銅版画とか、日本最古の印刷物の百万塔陀羅尼(←本物なら国宝モノだと思うのですが、特に注記なし)、小泉八雲直筆の手紙、などなどとにかく色々。飽きさせません。デジタル展示では、安政年間にロシア船が難破し、日本側が船を新たに建造した時の絵とかビゴー風刺画がドアップで見られます。
逆に言えば、統一感はありませんが、それには違和感を感じませんでした。
ほかの展示ブースには、「国宝の間」というのがあって、東洋文庫が所蔵する「国宝」のうち1つがいつでも見られるというもの。
今日は、なんと『史記』が展示されていました。日本の抄本のようでしたが、ヲコト点がつけられているもので、「夏本紀」の部分です。注釈は、「孔安国曰」が多かったので、集解本かもしれません【2011.11.22追記:推測した通り、集解本でした。詳しくは一番下のURLをご覧ください】。ヲコト点の詳しい内容の紹介も手際よくできていたのはよかったのですが、いかんせん、7mにわたるこの『史記』の抄本、ガラス板から実物までが遠く、じっくり見られません!!ルーペか望遠鏡必須であります。
そしてなぜか国宝の間には、浮世絵も展示してありました(国宝ではありませんが、保存状態、刷りの状態が極めてよいもので、こんなものまで持っていたのか、東洋文庫!という感じです//なんか閲覧申請すれば見られるのか?などと思いつつ・・・)。
しかも、写真撮影OKだというじゃありませんか!(ただし辛亥革命記念コーナーを除く。またフラッシュ禁止)
おいおいおい、早く言ってくれよ~。次回来るときがあったら、デジカメ持っていきます。
その他、いろいろ見ましたが、印象に残ったのは、「展示品解説」が意外に凝っている(というか、分かりやすく、微妙に面白く変化球で勝負してくる)ことでしょうか。その昔、2,3度ほど、展覧会の図録作成や展示品解説を書いたことがありますが、字数制限のある展示会会場でのキャプションはなかなか難易度が高かったのですが、この解説文なら門外漢でも楽しめます。誰がキャプション書いたのか知りたくなりました。私が言うのもなんですが、なかなかいい解説です。
土日月も、さらに20時まで開いているところも魅力的です。
【名称】東洋文庫ミュージアム
【所在地】〒113-0021 東京都文京区本駒込2-28-21
【TEL】03-3942-0280(ミュージアム)
03-3942-0400(オリエント・カフェ)
【アクセス】JR・東京メトロ南北線「駒込駅」から徒歩8分
都営地下鉄三田線「千石駅」から徒歩7分
都営バス上58系統・茶51系統「上富士前」から徒歩1分
【休館日】毎週火曜日(ただし、火曜日が祝日の場合は開館し、水曜日が休館)
年末年始、その他、臨時に開館・休館することがあります。
【開館時間】10:00〜20:00(入館は19:30まで)
【入場料】一般880円、65歳以上、780円、大学生680円、中・高校生580円、小学生280円
団体割引20%(20名以上) 障がい者(+付添1名) 340円
【2011.11.22追記】
ミュージアムアテンダント(MA)の方が休館日を除いて、ブログを書かれています。意外におもしろいです。ルター訳の聖書の大きさ、史記についても触れられています。詳しくは下記をご参照ください。
・東洋文庫ミュージアムMAブログ
http://www.toyo-bunko.or.jp/museum/blog/
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テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術