![]() | 冨谷 至 『教科書では読めない中国史―中国がよくわかる50の話』 小学館、2006年。 冨谷 至 序章 中国とはなんだろう? 第1章 王朝の始まり—夏?~春秋戦国時代 第2章 統一帝国の誕生—奏~漢 第3章 分裂の時代—三国時代~南北朝時代 第4章 東アジア世界の成立—隋~宋 第5章 中華と夷狄の融合—遼~元 第6章 中華帝国の爛熟と衰退—明~清 終章 旅の終わりに |
意外といっては失礼だが、今日書店で見て立ち読み、なかなか面白いなと思った1冊。冨谷先生はこんな本も出していたんですね。最近下記に紹介する専門書を出したのは知っていましたが、こちらは知りませんでした。
そもそもなぜ"中国"と呼ぶのかから、秦の始皇帝の遺書改ざん疑惑、三国志の小説と史実の隔たり、望んで去勢して宦官になった人々、貨幣の歴史、食生活、法律まで、通常の教科書的な中国史の本では読めない、50話のとっておき歴史トピック。中国・中国史ファンだけでなく、仕事で中国と関わっているビジネスマンもぜひ読んでいただきたい1冊です。写真・地図などもふんだんに収録。
との宣伝文句が。なかなか面白いのでお薦めできます。たしかに教科書には載っていないようなこと(皇帝の名前が何通りあるのはなぜか、始皇帝は諡号か?とか)が分かりやすく書いてあります。明日にでも地域図書館に借りに行こうと思ってます(今年はあくまで本を買わないぞ!)ので、詳しい内容はまたアップします。
amazonの中古書であれば、385円とお買い得です!
専門書も出ています。内容を一瞥してみましたが、これは読まなければいけない本だと思いました。秦漢史をやっている人は必読書ではないでしょうか。「漢的文書行政が崩壊し、その後の中世社会へと連なる」という壮大な構想のもとでの、漢代の文書行政を説いた書です。これまた大学図書館で買ってもらおう。
![]() | 冨谷 至 『文書行政の漢帝国 -木簡・竹簡の時代-』 名古屋大学出版会、2010年。 |
目次を以下に挙げておきます。
緒言
第Ⅰ編 簡牘の形態と機能——視覚簡牘への展望
第一章 簡牘の時代とその終焉
はじめに
一 論語の錯簡
錯簡はいつ生じたのか
二 韋編三絶
(1)韋編とはなめし革か?
(2)「韋編三絶」の意味の変遷
小 結——青絲・青嚢から青帙・青紙へ
第二章 視覚簡牘の誕生——簡の長さについての一考察
一 簡牘の長さの概観
二 尺一詔の始まり
三 三尺之律
四 経書の長さ
小 結
第三章 檄書攷——視覚簡牘の展開
はじめに
一 檄の考察——「卅井關守丞匡檄」
二 檄と検
三 檄とは何か——その機能と効果
(1)印について
(2)「日時在檢中」の意味
(3)露布の効果
四 もう一つの檄——掲示の檄
(1)候史廣行罰檄
(2)玉門花海出土皇帝遺詔
(3)多面体急就篇
小 結
第Ⅱ編 書記とその周辺
第一章 書記官への道——漢代下級役人の文字習得
はじめに
一 江陵張家山二四七号墓出土漢律令の史律
二 「史」と「不史」、「能書會計」
三 文書の傳達
四 扁書と諷誦——文書行政と口頭傳達
(1)「扁書」とは
(2)行政文書の最終地点
五 『急就篇』と『千字文』
小 結
第二章 書体・書法・書芸術——行政文書が生み出した書芸術
はじめに——書芸術の成立条件
一 書体の名称——隷書・草書・楷書
二 木簡が語る書法と習書
(1)懸針と波磔
(2)習書簡
(3)木簡に見える草書
三 行政文書から書芸術へ
小 結
第三章 行政文書の書式・常套句
はじめに
一 書き止め文言
(1)「如律令」
(2)「毌以它爲解」「毌忽」「以急疾爲故」
(3)「有書」「有」
二 文書送達と慣用文言
(1)検面表記と逓傳
(2)行者走・吏馬馳行・馬馳行など
(3)「發」について
三 自筆署名と副本作成
小 結
第Ⅲ編 漢代行政制度考証
第一章 漢代の地方行政——-漢簡に見える亭の分析
はじめに
一 辺境出土簡に見える「亭」
(1)「亭」「亭燧」「郵亭」等の語義
(2)エチナ川流域の亭の実態と機能
(3)辺境の郵亭——以郵行・以亭行
二 地方行政制度における亭制
(1)尹湾出土簡および文献史料からの考察
(2)郷・亭・里制度再考——「十里一亭」をめぐって
小 結
第二章 通行行政——通行証と関所
はじめに
一 文献史料に見える「傳」とその注釈
二 簡牘資料に見える「傳」——辺境出土木簡を中心にして
(1)申請手続き
(2)「傳」の書式
(3)傳の送達
(4)傳と符・致
三 漢代の関所——とくに辺境を中心として
(1)肩水金関出土木簡の分析
(2)居延県索関
(3)玉門関の所在をめぐって
小 結
第三章 食糧支給とその管理——漢代穀倉制度考証
はじめに
一 居延地方の穀物倉
(1)倉の種類と配置
(2)倉官
(3)倉の管理
二 食糧支給の実態
(1)支給額
(2)大石と小石
(3)支給対象
(4)簿籍
三 睡虎地秦律の穀倉
(1)倉律・效律の二・三の条文
(2)倉律(88~94簡)の解釈
小 結
結 論
第Ⅰ編は「視角簡牘」という視点から簡牘資料を説いた部分になっていて、出土資料をやっている身としては非常に興味深い。第Ⅱ編も書記官を中心とした簡牘資料の実態を鮮やかに描き出している。
ところでamazonのこの書のページに「単行本: 22ページ」とあるのはご愛嬌か。名古屋大学出版会のHPには「494頁」と出ている。また、すでにamazonで古書が出ているが、これが14500円と高い!品切れになるのを狙っての値付けなのか?よく分からない。
スポンサーサイト
テーマ:中国史 - ジャンル:学問・文化・芸術