古代中国箚記

古代中国の文章・文物・歴史・研究について。とりあえず漢文(古典漢語)や漢字について徒然なるままに、また学会覚書、購書記録なども記していきます。

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唐宋変革

一般の人には馴染みが薄いかもしれないが、「唐宋変革」という言葉があり、中国史を勉強している人であれば、必ずと言っていいほど、耳にする言葉です。唐代と宋代では大きな質的な変化があり、それを「変革」と呼んでいます。この論は、古くは内藤湖南から始まるものですが、いわゆる京都学派だけでなく、歴研学派(東京学派)にも共通した(どのような世界からどのようなへ変革したかは別として)認識です。本当におおまかに言えば、京都学派は、これを中世から近世への変革と見るのに対し、歴研学派では、これを古代から中世への変革と見るわけですが、いずれにせよ、唐代と宋代には大きな変化が見られるという点では一致しています。

年の瀬になりましたが、京都学派の礪波先生が以下の本を出されました。文庫本でどちらかと言えば硬派なものが出るのは珍しく、ぜひとも手元に置いておきたい本です。

唐宋の変革と官僚制 (中公文庫)
礪波 護
『唐宋の変革と官僚制』

中央公論新社、2011年。




つい先日も、宮崎市定先生の中公文庫の本を紹介しましたが、なかでも専門書を文庫本化した下記の書は、版元品切れのようですが、文庫本で入手できること自体、驚きです。それまでハードカバーの本は古本屋で1万円以上していましたが、この文庫本が出てから、一気に底値が下がりました。今年は、加地伸行『漢文法の基礎』が絶版かつ古本としての流通もない状態から、講談社学術文庫から出版されましたが、今後もそういう流れが続いてほしいものです。

九品官人法の研究―科挙前史 (中公文庫)
宮崎 市定
『九品官人法の研究―科挙前史』

中央公論社、1997年。




個人的には、
漢文の語法 (角川小辞典 23)西田 太一郎
『漢文の語法』

角川書店、1980年。




の再版か、文庫本化を強く希望しますが、1982年に亡くなられていますから、著作権の関係などあり、いろいろ難しいのでしょうね。良書が世に出ないというのは、本当に嘆かわしいことです。

最近、ある出版社から依頼されて、高校卒業生向けの漢文の問題を作成したのですが、世に出ている漢文参考書のほとんどが句形と助字の説明に終始しているのに対し、『漢文の語法』は、比較的網羅的に「漢文」の文法的構造を平易に説いています。非常に参考になりました。また、以前紹介した
漢文訓読入門古田島 洋介、湯城 吉信
『漢文訓読の入門』

明治書院、2011年。




では、「すでに入門としてはレベルが高すぎる」という評価をされましたが、やはり、

漢文入門 (岩波全書 233)小川 環樹、西田 太一郎
『漢文入門』

岩波書店、1957年。




が、現在入手可能な、入門から中級レベルの非常によくできた漢文教科書であることは、変わらないようです。また、漢文の文法については、書店で売っている参考書コーナーにある本よりも、

全訳漢辞海戸川 芳郎
『全訳漢辞海』(第二版)

三省堂、2011年。




の付録の、「漢文読解の基礎」が、よっぽど非常に簡潔にかつ正確に記述しています。

最近は、どうも「分かりやすければよい」という風潮があるように思いますが、少々とっつきにくくても、読めば読むほど理解が深まるものを読むべきで、いくら読んでも理解の程度が深まらない本を「分かりやすい」からといって読むべきではないと思います。あるいは、そうした「分かりやすい」本を読んだら、次のステージに迷わず進むべきでしょう。「分かりやすい」本は、それを読んだとしても、そこから得られる知識は限られています(もっと言えば、浅い理解しかできない)。それにひきかえ、少々難しい本でも、なんとかして読めば、より一層の理解が得られるのです。

いくつか前のブログに、どうすれば古典漢語が読めるようになるだろうか、と自問しましたが、やはり答えは「良書を読むこと」と「漢文を読むこと(いわゆるセンター試験のように訓点つきでないものを読むこと)」に限るのだと、思い至りました。

学問に王道はないので、古典漢語も、外国語ですから、読めば読むほど読めるようになるし、つまり、漢文そのものを読まなければ、いくら解説書を読んでも、いつまでも読めないと思います。それは、語学を勉強するには、「多听,多念,多说」が一番だということに他なりません。
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キター!!!! 『東洋史研究』PDF版、公開

今日、別件で出典の調べ物をしていたら、偶然遭遇。以前このブログでもお知らせしたように、日本の東洋史研究では超メジャーどころか、老舗であり権威的でありスタンダードでもある、『東洋史研究』が、京都大学のリポジトリに加わっていました。しかもなんと最近の3年間を除き、全部公開しちゃってます。こりゃ、事件ですよ、姉さん(笑)。

<2011.7.4補記>
よくよく見てみたら、まだ部分的にしかPDF化されていませんでした。「全部」などと言ってしまい、すみません(ツイッターでの反響も大きかった)。著作権は著者に帰属しているでしょうから、許諾などで時間がかかるのかもしれませんが、学界をリードする学会誌なので、頑張ってほしいところです。
現段階でPDF化されているのは、以下の通り。
1巻1号~14巻4号・26巻1号・26巻3号・63巻1号~66巻4号。
<補記終>



今や全国的な学会ですが、もとはといえば(あるいは現在も?)京都大学の東洋史研究室(東洋史研究会)の雑誌だから、大学のリポジトリで公開するというのは当然といえば当然かもしれない。

これのすぐれているところは検索機能がついていることでしょう!
論文名だけではなく、おそらくテキストもひっかかるようです。

みなさん、興味あるものはPDFで落として読みましょう!
(もちろん、学術目的に限っての利用です)

すばらしい、京大!

・京都大学学術リポジトリKURENAI紅・東洋史研究
http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/138102

負けるな、『東方学』『東洋学報』!!(笑)

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消えたオゴタイ=ハン国

今年度はわけあって、高校で「世界史B」を教えている。

実は、世界史を教えるのは5年ぶり…。5年前は「世界史A」を教えていたので、「世界史B」となると、12年ぶりくらいです。10年一昔とはよく言いますが、教科書もまた少しずつですが、変わってきています。使っている教科書は、もちろん天下の山川出版社のものです。

先日、モンゴルのところを教えていたのですが、予習段階で教科書に「オゴタイ=ハン国」が出ていないことに気付きました。チャガタイ=ハン国、イル=ハン国、キプチャク=ハン国は、ちゃんと太字になっているのにもかかわらず。

おかしいなぁと思い、資料集を見てみると、

「オゴタイ=ハン国は、近年の研究から存在が疑問視されている」と出ていました。

初耳です(笑)。時代が違うから知らないということもあるのでしょうが、オゴタイ=ハン国の研究ってそんなにされていないような気がするのですが。まぁ、山川の世界史に出ていないということは、信憑性高そうです。

他にも、自分が習った時、あるいは10数年前教えた時と違っているところがいくつかあります。

たとえば、「テニスコートの誓い」

高校生のころは、なんだその誓いって、と思ったものでした。さすがに、そう思う人が多かったのか、今の教科書では、

「球戯場(テニスコート)の誓い」

となっていました。

あと、自分が習った時にはなかった語句が太字になっていて、初めて見る語句も少しあります。気付いた時に、ここに追記していきたいと思います。

<追記・2010/11/25>

昨日、この記事の話題を仕事仲間と話していたときに、衝撃の事実(?)が発覚。
「テニスコートの誓い」って野外ではなくて、室内で行われたんだそうです。
知ってましたか?私は知りませんでした。。。まだまだ勉強が足りません。精進せねば。

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曹操墓の最新情報

河南安陽市西高穴曹操高陵.pdf
https://docs.google.com/fileview?id=0B4weOym7L8VTNzY3YjZkODItNzk3NC00YTcxLThhNDAtZThlMjZjOTUyZTM1&hl=en

お試し・・・。

「河南安陽市西高穴曹操高陵」『考古』2010年第8期

曹操墓の最新情報です。

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『曹操墓真相』

曹操の墓ではないかと言われている西高穴二号墓についての専著。

河南省文物考古研究所(編著)『曹操墓真相』科学出版社、2010年。

曹操墓真相


すでに枕流亭ブログで紹介されている。
http://d.hatena.ne.jp/nagaichi/20100623/p1

遅まきながら、先日、職場の同僚(?)のYHさんから、中国のお土産としていただく。本を買わない宣言をして、本を買っていないので、非常にありがたい。科学出版社から出ているある意味れっきとした本である。中身をパラパラ読むと、ウェブでは拾えない情報も数多く載せられており、非常に有益。たとえば、p66-67に載せられた「六辺形石牌」は副葬品リストとしては珍しく石に刻まれたもので、漢代だと木製で「楬」と呼ばれるものだろう。「胡粉二斤」(おしろいか?)とか「刀尺一具」(1尺の刀一揃い)とか「竹簪五千枚」だとかいろいろある。p20には盗掘をするためのシャベル「洛陽鏟」の使い方が図示してあるなど興味深い。

河南省洛陽の盗掘団が発明したものなので「洛陽鏟」と呼ばれるのだと言う。洛陽鏟は考古学者が「持ってきて」使うようになり、考古学の発掘では欠くことのできないボーリング工具となった。



とのこと。てっきり、墓の盗掘団しか使っていないものだと思っていたら、今や考古学者も使うようになっているんですね。面白い。この「洛陽鏟」の現物を見る機会があったのだが、その辺の農民が手にしていそうな、長細いシャベルで、粗忽感があって面白かった。

さて、曹操墓に触れた日本語の著作はないのかと探していたら、以下の書が見つかった。一般向けではあるが、きちんと考古学的な見地も踏まえているようだ。前半は三国志のストーリーが分かりやすくヴィジュアル化されておおり、ビギナーにもやさしい本となっている。興味のある方はぜひ読まれたい。

CG再現 三国志 (双葉社スーパームック)


『CG再現 三国志 (双葉社スーパームック)』
 双葉社、2010年。

こういう類の本では珍しくamazonでも高評価だ。



さて、先日書いた諸橋『大漢和辞典』の電子版だが、すべてPDFに変換した。
PDF-XChange
http://www.altech-ads.com/product/10004271.htm
というソフトを使ったのだが非常に快適(本来シェアウェア版なのだが、なぜかただで使っている)。PDFブラウザとしてもタブ形式で扱いやすいので、Adobeのビューワーではなく、こちらのビューワーをデフォルトにした。PDFのページを回転したり削除したり挿入したりもできるのでありがたい。
ビューワーだけならフリーでもあるので、お薦め。
PDF-XChange Viewer v.2
http://www.altech-ads.com/product/10003958.htm




ここ数日で、リンクを3つ増やした。紹介しておこう。

・称猫庵
http://syoubyouan.blogspot.com/

拙ブログと方向性が似ている。非常に細かい新刊紹介や学会案内がある。私は情報に接しても全部ブログに載せてはいないが、こちらでは必ず学会案内が出ているので拙ブログを見ている方にはぜひお薦め。

・学退筆談
http://xuetui.wordpress.com/

中国語学・古典中国語についてはこちらの方が専門的。有益な工具書の紹介や新刊紹介がなされている。楼蘭文書を実見しにストックホルムへ行かれたようだ。うらやましい!

・中国と六朝の扉
http://fkoryuliuchao.blog.so-net.ne.jp/

曹操墓についての一番新しい情報が載せられている。かの『考古』に発掘簡報が載せられたという。実はブログ主のお名前は存じているが、面識はない。

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