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古代中国箚記

古代中国の文章・文物・歴史・研究について。とりあえず漢文(古典漢語)や漢字について徒然なるままに、また学会覚書、購書記録なども記していきます。

『漢辞海 第三版』出る!!

前にも書いたと思うが、漢和辞典を1冊だけ買うとしたら、どれを薦めているかというと、三省堂の

全訳漢辞海戸川 芳郎
『全訳 漢辞海 第三版』
三省堂、2011年2月。




を薦めている。

なぜかといえば、語釈がしっかりしている(従来の漢和辞典を引きずらずに書き下ろしている)こと、現代の古典漢語研究の成果が反映されていること、訓読に対応した訓読文・書き下し文が掲載されていること、品詞が付せられていること、中古漢語(三国~隋唐)の熟語が補われていること(従来の漢和辞典は、先秦諸子百家や『史記』と唐詩の出典が多く、六朝期の語彙をほとんど取っていなかった)などなど、数えたらきりがないほど漢和辞典として画期的な辞典なのだ。

語源について『説文解字』や『釈名』の説明を踏襲している(つまり、独自の語源案を提出してない)などといった点に不満を覚える人もいるらしいが、それはそれで一つの見識を示したものであり、語源については他の漢和辞典を見ればよいのである。

ということで、この『漢辞海』の新版(第三版)が出ました、というニュースでございました。

ある、大学教員は「私はあえて『漢辞海』を学生に薦めない。なぜかといえば、『漢辞海』をひいてしまうとすぐに答えが載っているから」と言った人さえいる(笑)。

漢和辞典はたくさんあるが、私は断然『漢辞海』を推薦しています。

<2011.3.1 追記>
別件で三省堂の編集部の方と連絡をとったところ、現時点で「初刷」がすべて出てしまったとのこと。いやぁ、人気ありますね。


話は変わるが、来年度の仕事で未定なのは、東京都の都立高校のコマ。

今年はどうも接触が早い。今日早くも2校から打診を受けた。1校はいわゆる現任校(現在赴任している学校)からで、今年度と同じ2コマか2コマ増えて4コマかになる模様。もう1校は、世界史Aを2年生に2単位で2クラスにというものだった。これは断った。来年度はできるけ仕事を減らすつもりなので。
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テーマ:漢文・漢詩 - ジャンル:学問・文化・芸術

コメント

井蛙さま

お久しぶりです。
まずは大学合格おめでとうございます。かくいう私も20年以上前に受験して合格した大学に行かれるのですね。うらやましいです(親に言ったら下宿はさせられないと言われた私)。京都が好きなので、その点でもうらやましいです。勉学に明け暮れた大学の日々は今や懐かしく思い起こされますが、大学・大学院時代が一番勉強する時間があったと思います。井蛙さんも、よき大学生活を送ってください♪

さとうしんさま

今回の改訂は、おそらく新しく追加された人名漢字に関する部分を中心とした改訂で、多くの中型漢和辞典が行っているのと同じく小規模の改訂になるはずです。まだ現物を見ていないのですが、『漢辞海』は2版が出るのが早かったですね。中型漢和辞典ではかなり頑張っていると思っています。

漢辞海いいですよね!

お久しぶりです。
リンクさせていただいております「井戸から飛び出した蛙」の管理人・井蛙です。
「漢辞海」は10月に賞品でもらったばっかりでした…
漢詩を読むのに欠かせません。
この度はご無事でなによりです。
発生時わたしは家で一人だったので、落ち着くために只管漢字を書いていました。
現実逃避みたいになってしまいまして、長文失礼しました。

『漢辞海』、もう第三版が出るんですか。他の辞書と比べて改訂のペースが早いですね。独自の語源案を出していないことについては、私もこれはこれで潔くて良いと評価してます。

  • 2011/02/28(月) 22:17:50 |
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  • さとうしん #-
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